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2024.08.08

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「風呂に水を溜めるのはNG」「1日の必要水量は最低3L」専門家に聞いた【震度6以上の自宅避難対策】



世界有数の地震大国で暮らす我々は、災害への備えを絶対に忘れてはならない。

改めて考えたいのが、「現状の防災対策が果たして正解なのか」ということ。実際の被災時のイメージが曖昧では、本当に必要なモノ・コトはわからない。

そこで今回は、「震度6以上の地震が発生した際の自宅避難」というシチュエーション想定のもと、本当に役立つ防災テクニックをご紹介。話を聞いたのは、国際災害レスキューナースの辻 直美さんである。

教えてくれたのは……
辻 直美さん
辻 直美さん●国際災害レスキューナース、一般社団法人育母塾代表理事。国境なき医師団の活動で上海に赴任し、医療支援を実施。帰国後、看護師として活動中に阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に災害医療に目覚め、JMTDR(国際緊急援助隊医療チーム)にて救命救急災害レスキューナースとして活動。  現在はフリーランスのナースとして国内での講演と防災教育をメインに行い、要請があれば被災地で活動を行っている。2023年4月時点で看護師歴32年、災害レスキューナース歴28年。被災地派遣は国内外30カ所以上にのぼる。近著に『地震・台風時に動けるガイド 〜大事な人を護る災害対策〜』(Gakken)がある。

辻 直美さん●国際災害レスキューナース、一般社団法人育母塾代表理事。国境なき医師団の経験を経て、現在はフリーランスのナースとして活動。講演と防災教育を行いながら、要請があれば被災地にも出向く。国内外30カ所以上もの被災地で実地経験を持つ、防災のエキスパート。


災害時に必要な1日の水量は最低でも3L



東京都水道局の調査によれば、家庭でひとりが1日に使う水の量は、平均214L程度(令和元年)だが、辻さんによると髪の長さがセミロングくらいの成人女性が1日使う水の量は276L(2Lペットボトル138本)程度とさらに多くなる。

その使い道は手洗い、入浴、トイレ、掃除、料理、飲用など、当然ながらどれも生活に欠かせない。逆を言うと、地震で断水が発生した際、これらのすべてが十分に行えなくなるわけだ。

では、災害時の水事情はどうか。

災害時、人が1日に必要とする最低限の水の量は、飲食用に2L、生活用水に1Lの計3L。平時とは比較にならないほど少ないが、この圧倒的な差をイメージできていない人がほとんどだと辻さんは言う。

「1日3Lというのは本当に最低限、生活の中で必要な量です。

例えばご家族の中で、奥様や女の子の髪の毛が長いとなると、3Lでは賄えないことになります。最低限の目安はあるけども、それぞれの“清潔”に対するニーズによって変わってくるわけです。

これが、普段どれだけ水を使っているのか把握していないと、『3Lもあれば余裕で足りる』と簡単に考えてしまう。

以前、知り合いの男性に『1日3Lの水で2日間過ごしてみてください』という実験をお願いしたところ、1日で『もう無理』と音をあげていました」。

「地震が来たら風呂に水を溜めておけ」はNG!



昔から「地震が来たら、風呂に水を溜めておけ」とはよく言われるが、今、それは絶対にNGだ。

「お風呂に溜めた水を何に使うか、というアンケートをとると、約8割の人が『トイレを流すのに汲み水として使いたい』と答えます。

でも、それはやっちゃダメなんです。

なぜなら、地震によってトイレの配管が割れている可能性があるから。マンション住まいの方なら特に注意してください。たとえ自分の家からは屎尿が消えても、下階の部屋の壁から滲み出てきたりします。

実際、そういったトラブルは非常に多いんです。震度6以上の地震では、自治体の防災担当からの指示があるまでは、トイレの水は流さないと、覚えておきましょう」。



ではほかに、風呂の水をどんな用途で使うのか。

洗濯? 食器洗い? いやいや、そもそもお風呂に溜めた水って、そんなに清潔なのだろうか?

「例え、きれいに洗ってあった浴槽だとしても、やはり清潔ではないですよね。食器を洗う水としてはもちろん、洗濯にもおすすめできません」。

そこで辻さんならこうする。

「バスタブに直接、水を入れるのではなく、45Lのゴミ袋を2枚重ねたものに水を入れてバラバラに保管しておく。1つ35L程度の水袋を3つくらい作っておけば、100L程度の清潔な水が備蓄できることになります。袋ごとに、飲用、洗濯用、食器洗い用などと分類しやすいので便利です」。

ひと昔前は良しとされていた常識も、今や完全に過去の話、防災のテクニックもアップデートが必要なのだ。

本日午後4時43分頃、日向灘を震源とする地震が発生し、宮崎県日南市では最大震度6弱を観測。気象庁はこれに連動し、別の巨大地震が起きる可能性が普段より高まっているとして、「巨大地震注意」の南海トラフ地震臨時情報を発表した。

自治体情報に注意しながら落ち着いて行動するのはもちろん、改めて自宅の防災対策を見直し、いつ来るかわからない震災にできるだけ備えておこう!

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