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2024.08.10

ライフ

知らなきゃ危険な“バーベキューの食中毒対策 6カ条”!専門家「鶏肉、挽き肉、カレーも実は……」



大人数でワイワイ楽しむバーベキューは夏の風物詩のひとつだが、食中毒のリスクもあるため注意が必要だ。

今回は、夏祭りの食中毒対策を教えてくれた名古屋文理大学短期大学部の佐藤名誉教授に、BBQで気をつけるべきポイントを聞いた。

話を聞いたのはこの人!

佐藤生一●名古屋文理大学・短期大学部名誉教授。管理栄養士。約45年間、栄養士やフードスペシャリスト養成に従事。
日本テレビ「秘密のケンミンSHOW極」、テレビ朝日「モーニングショー」などメディア出演多数。

佐藤生一●名古屋文理大学・短期大学部名誉教授。管理栄養士。約45年間、栄養士やフードスペシャリスト養成に従事。
日本テレビ「秘密のケンミンSHOW極」、テレビ朝日「モーニングショー」などメディア出演多数。


肉で特に注意すべきは“鶏”!生焼けの見分け方は?



――BBQの肉といえば牛、豚、鶏が主流ですが、最も食中毒に注意した方がいい肉はどれでしょう。

鶏、豚、牛の順です。夏の食中毒に多いカンピロバクターという菌が増殖して発生しやすいのが鶏で、その理由は鶏肉には水分が多いから。主な原因は加熱不足なので、しっかり火を通すようにしてください。

そう多くはありませんが、豚を発生源にした食中毒もあり、多いのがカンピロバクターとサルモネラ菌によるもの。これも十分に加熱すれば防ぐことができるので、とにかく加熱が肝心です。

牛が比較的安全なのは牛自体に菌がいないからですが、2次汚染で菌が付着するリスクはあります。牛は表面をしっかり焼くようにしてください。
ポイント①
鶏肉と豚肉は中までしっかり火を通す、牛肉の表面はしっかり加熱すると覚えよう。
――肉の生焼けを見分ける簡単な方法はありますか?

肉の色や肉汁の色でだいたい判断できます。鶏肉は肉に厚みがあるので、分厚い中心部分が白くなっていればOKです。

豚肉と牛肉は、中が赤くても生焼けじゃない場合があります。中心部分に竹串などを刺して、出てくる肉汁の色が透明であれば大丈夫でしょう。

生焼けを防ぐために、菌の増殖を防ぐ温度についても知っておいてください。中心温度が75℃で1分以上、70℃で3分以上、60℃で30分以上を目安に加熱すれば、細菌は死滅します。
ポイント②
鶏肉は中心部分が白になっていればOK。豚と牛は、肉汁が透明になっているかを確認。菌の増殖を防ぐのは「75℃で1分以上」「70℃で3分以上」「60℃で30分以上」がルール。

BBQに多い食中毒TOP3と症状


――BBQで食中毒になりやすい菌と症状を教えてください。

カンピロバクター、サルモネラ菌、ウエルシュ菌ですが、症状は以下の通りです。



肉は10℃以下で保管!ブロック肉が理想的



――やはり肉は現地で調達するのがベストということでしょうか。


菌が最も増殖しやすい温度は20〜30度。現地調達をしても、車のなかに置いたらあっという間に30度以上に達してしまいます。10℃以下に保管することを徹底してください。

そのためには、アイスボックスを持参して氷と一緒に入れるか、肉を事前に購入して冷凍した状態で持っていくのがおすすめ。そうすれば保冷剤の代わりにもなりますから。
ポイント③
冷凍した肉を常温で解凍すると菌が増える可能性あり。アイスボックスに氷と一緒に入れるなどして低温の環境で解凍しよう。

――合い挽き肉やブロック肉で何か違いはありますか?

原則として、表面積が狭いものほど傷みにくく、菌の増殖が抑えられます。つまり、ベストは塊になっているブロック肉を買うこと。一番傷みやすいのは表面積の大きいミンチ肉です。

包丁、まな板、トングを別けて2次汚染予防を



――調理時に気をつけるべきポイントを教えてください。

まず、手をきれいに洗い、まな板や包丁もしっかり洗いましょう。洗う環境がなければ、食品に使える除菌シートや除菌スプレーで対処するのでもOKです。

BBQで大切なのは、菌が別の食品に付着する「2次汚染」を防ぐこと。肉を切るまな板と、加熱しない野菜などを切るまな板を分ける。まな板が1枚しかない場合は、非加熱の食材を切ってから肉を切ってください。包丁も同じです。
ポイント④
手を洗い、まな板・包丁も除菌する。加熱しない野菜などの下処理を済ませてから、肉を切る。

――加熱しない食材の下処理を先に済ませる、と覚えておくのが簡単ですね。

そうですね。あとは、うっかりしやすいのがトングです。肉を焼くのに使うトングと取り分けるトングを分けない人がいますが、2次汚染が起きるので注意してください。

混同しないように、トングで肉を焼き、菜箸などを使って取り分けるのがおすすめです。
ポイント⑤
手を洗い、まな板・包丁も除菌する。肉を焼くトングと取り分けるトングは別々に。

―― 結構、注意点が多いですね。

あと、生水でもカンピロバクターによる集団食中毒が起きた事例もあるので、現地の水を使うことは、今は特に避けた方がいいと思います。また、野生のキノコや山野草などは、神経系の食中毒を引き起こすリスクがあるので、キャンプ場などでBBQをする場合は、持参したものだけを調理するようにしてください。
BBQで食中毒を防ぐ6カ条まとめ
・肉は10度以下で保管する
・手洗いの徹底。除菌したまな板や包丁を使う
・火を通さない食材と肉を切る包丁とまな板は別ける
・肉を焼いたトングで皿に取り分けない 
・生水は要注意(使用するときは必ず沸騰させてから)
・野生のキノコ、山野草など食べない

BBQで見落としがちな食中毒「おにぎり」と「カレー」



――BBQでほかに注意すべき食料などはありますか?


おにぎりです。というのは、おにぎりで発生しやすい黄色ブドウ球菌は、増殖温度域が5~47.8℃と広く、食塩濃度が10%あっても増殖するやっかいな菌。しかも、増殖するとエンテロトキシンという熱の抵抗力が強い毒素を作ってしまうんです。

遠足やお出かけの腹ごしらえに持参する人が多いので、おにぎりは注意が必要です。

――菌の増殖を防ぐための注意点を教えてください。

黄色ブドウ球菌は調理する人の手や指を介して付くことが多いため、素手ではなく、ラップや手袋をして握るようにしてください。

抗菌作用のある梅干しを入れれば大丈夫だと言われがちですが、あれは気休めに過ぎません。たとえ保冷剤を入れても、長時間の保存は避け、気温が高い時期はなるべく早く食べるようにしましょう。

――おにぎりの出番は多いですよね。注意します。

見落としがちという点では、カレーも要注意です。現地で調理してすぐ食べる場合はいいですが、家で調理したものを持っていくケースもありますよね。前日に調理したカレーを、常温のままふるまったカレーにウエルシュ菌が増殖して、150人以上が集団食中毒を起こした例もありました。

BBQじゃなくても夏場は家でカレーを作ることが多いと思うので、余ったらすぐ冷蔵庫に入れて、しっかり再加熱をしてから食べるようにしてください。


食中毒は死を招く危険性もあるため、絶対に侮れない……が、極度に怖がる必要もなし。ポイントをしっかり抑え、安心・安全な夏の風物詩をしっかり味わおう!

ぎぎまき=取材・文

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