電動ろくろにハマったのはSFアニメがきっかけだった!?
東京都品川区・大井町に、今クリエイターがこぞって通う陶芸教室があります。坂爪康太郎さんが主宰を務める〈P&A〉です。教室を開いたのは2017年のこと。それまでアトリエとして活用していた築60年ほどの一軒家を一般向けの教室として開放したのが始まりでした。
そんな坂爪さん自身も陶芸作品を制作するアーティスト。初めて陶芸に触れたのは大学生の時でした。
「総合的に工芸を学ぶ学部だったのですが、2年から専攻が分かれて、その際に陶芸を選択しました。理由は、なんとなく土という素材が面白そうだなと思ったから。本当にそれくらいの感覚でふわっと決めてしまって。その頃はやきものの器にも興味がなくて、どちらかというと彫刻やオブジェに興味がありました」
現在、坂爪さんは主に「電動ろくろ」を使用した立体作品を中心に制作しています。ですが、大学生の頃はまだ「電動ろくろ」の魅力に気付けていなかったと話します。
「今でこそ『電動ろくろ』が面白いから陶芸をやっているようなところもあるんですが、当時はうまくできないし、汚れるし、正直何が楽しいんだろうと思っていました。『電動ろくろ』って結構難しいんです」
坂爪さんの作業スペース。棚の最上段には、電動ろくろを使った作品が並ぶ。
秘密基地のようなデスク周り。窓際には作品が並ぶ。
そんな坂爪さんが、「電動ろくろ」にハマったのは、とあるアニメがきっかけでした。
「友達に『天元突破グレンラガン』というSFのような設定のロボットアニメを勧められて。主人公の少年がロボットで敵を倒しながら成長していく話なのですが、進化のためには『螺旋力』という螺旋状のエネルギーが必要なんです。
それを観た時に、もしかしてろくろも螺旋エネルギーなんじゃないの? と気付いてしまって(笑)。それからろくろを引くのが楽しくなったんです。ちょっと頭のネジが外れていたのかもしれないですね(笑)。僕はアニメがきっかけでしたが、何が陶芸への入口になるかわからない。そのきっかけを1つでも多くするために、教室をやっているところもあります」
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