歳とともに「これって老眼?」と思う機会が増えてきたのではないだろうか。では、実際老眼とはどんなものなのか。
今回は加齢による目の不調について、深作眼科の深作秀春医師に教えてもらった。
話を聞いたのはこの人!
深作秀春⚫︎医療法人社団秀仁会深作眼科院長。国立滋賀医科大学を卒業。1988年に同院を開院。神奈川と東京にある病院には全国から患者が集まる。国際眼科学会で最高賞を20回も受賞。世界最高の眼科外科医の称号であるクリチンガー・アワード受賞者。『白内障の罠』『緑内障の真実』『視力を失わない生き方』(光文社)、『100年視力』(サンマーク出版)など、著書も多数。
「老眼=手元の文字が見えにくい」は誤解!
――最近、本の文字が読みづらくなってきたのですが、これって老眼ですかね……。 40代になると目のピント機能が衰えてきて、50代になると多くの人が、調整機能が弱くなります。だから40代後半であれば、老眼と考えていいでしょうね。
――やっぱりそうなんですね……。 ただ、老眼というと、皆さん手元の文字が見えにくいことを指すと思っているんですね。だから近視の人は「遠くは見えないけれど、近くは見えるから老眼ではない」とか言うんだけど、本来の老眼というのは、目のピント機能の衰えを指すんです。
つまり距離は関係なく、1つの焦点しか合わない、暗いところで見づらい、遠くから近くに視線を移したときにピントが合いづらいなども、全て老眼なんですね。
――近くだけじゃないんですね! ところで、どうして老眼になるんでしょう。 目のピントというのは、眼球にある水晶体が膨らんだり、薄くなったりすることで合うんですね。そして、この水晶体の動きは毛様体筋の収縮により調整されます。
ところが歳をとってくると、水晶体の弾力がなくなり、毛様体筋が衰えて収縮力が弱くなる。そのため、ピントが合いづらくなるんです。
ちなみに最近よく聞かれる“スマホ老眼”というのは、スマホばかりを見ていると、毛様体筋が凝り固まってしまって、ピント調整ができなくなること。これは加齢には関係なく、20代でも30代でも、起こる可能性があります。
若くして起こる老眼もありますから、目を酷使しないことが大切です。
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