OCEANS

SHARE

「楽しそうなおばさん」に衝撃!

そして2020年になり、ジェーン・スー氏と、50歳でTBSを退職、フリー3年目という堀井美香氏の「OVER THE SUN」が始まった。スー氏の自由すぎるフリートークと堀井氏のすっとんきょうな相槌、2人の笑い声につられてコロナ禍でも元気をもらった人は多いと思う。私もその1人だ。

「OVER THE SUN」が始まってから、周りでもスー氏のことを知る人が増え、20、30代の間でも認知度が一気に上がったと感じる。

なぜ、月間リスナー80万もの人気を獲得できたのか、その「需要」はどこにあったのか、なぜここまで老若男女問わず人気になったのか。スー氏は、取材の中でこう説明してくれた。本誌ページには盛り込めなかったので、ここで紹介する。

「始める前から一定のニーズがあるだろうとは思っていました。なにかの肩書きがある人やお笑い芸人とかじゃない限り、これまでおばさん2人が雑談する番組なんてなかったから。

意思決定権をもつ層に男性しかいなかった時代には通らなかった企画かもしれない。中年女性が横滑りする話をしたり、悪ノリで何かをしたりする番組がお金になるなんて思ってなかったわけです。

それが今、番組内でいろんなスポンサーと一緒にタイアップができるのは、会社の決定権を持つところに女性がいるということ。スポンサー企業さんのマーケ担当者が互助会員さん(編集部注:番組では「リスナー」のことをこう呼ぶ)で、その人が会社に稟議書を出したらOKが出た、といった流れもあります。

番組では長らくお世話になっている、アミノ酸が補給できるサプリ『アミノバイタル(R)』の提供も、味の素に勤務する互助会員さんが番組に手紙を送ってくれたことが始まりです。先日は東海道新幹線車内でしか聞けない限定エピソードを配信する企画がリリースされ、それもJR東海に勤務する互助会員さんが実現させてくれたのです」

スー氏はまた、こう続ける。

「3年以上『OVER THE SUN』を続けてこられたのは、私たち女性が頑張ってきた、なによりの証なのです。

タイアップをしたいと女性が声を上げて、そこに予算がついてくるっていうことは、女性たちがそれぞれの持ち場で頑張ってきたということ。今までは見えてこなかった女性の頑張りや活躍が可視化されたことが、ポッドキャストをやりはじめてなにより嬉しい」

中年になっても存分に悪ふざけ、「新しいおばさん像」

「昔だったら良しとされなかったかもしれない『女性の悪ふざけ』も、やってみたら意外とみんなが楽しんでくれて。

これまでも『優雅で上品な』女性の成熟の方法、たとえば、ワインを嗜む、着物教室に通う、とかはあった。でも『中年になったって悪ふざけしていてもいいんだよ』っていう新しいおばさん像を体現して、人生の選択肢を増やしていきたいですね。

若いリスナーが増えているのもいい変化だと思います。私たち世代は、加齢に対して抵抗感が強くて、親と同じものを共有することに嫌悪感があったけれど、今の若い子たちは私たちの『おばさんコンテンツ』を抵抗なく楽しんで聞いてくれている。それは今の若い子たちが、女性の加齢に対しての恐怖が昔より少なくなっていることなのかなと思っています」


3/3

次の記事を読み込んでいます。