当記事は「FUTURE IS NOW」の提供記事です。元記事はこちら。 オンラインコミュニティなどネット上で集う文化が加速する一方で、近頃はリアルな場で人と「集う」ことの必要性を感じる機会も多いはず。そこで、今月は「集う」について考えていきます。
今回注目するのは、ジェーン・スーさんと堀井美香さんによる、TBSラジオの人気Podcast番組『OVER THE SUN(オーバー・ザ・サン)』。2020年10⽉に配信がスタートし、今や月間リスナー約80万人となった同番組。公式ファンブックのみならず、番組が介在せずともオープンチャットは大盛り上がり。
ファンダムともいえるこのムーブメントは、なぜ起きているのでしょうか。パーソナリティとリスナー両者の熱を近くで見ている番組プロデューサーの吉田周平さんと一緒に、ファンダム形成の理由を6つのトピックで探っていきます。
吉田周平さん(よしだ・しゅうへい)
TBSラジオ 事業創造センターコンテンツ制作担当。
中央大学法学部法律学科卒。2010年、TBSラジオに新卒入社。10年以上営業セクションを経験した後、2021年から番組制作に携わる。同年4月より『OVER THE SUN』の担当に。現在は地上波、Podcastなどの多くの番組制作を担当している。
トピック①:TBSラジオ制作の初のPodcast専門番組
2020年10⽉、コロナ禍真っ只中に配信が始まったPodcast番組『OVER THE SUN』。誕生のきっかけは、ジェーン・スーさんがパーソナリティ、堀井美香さんがパートナーを務める『ジェーン・スー 生活は踊る』(TBSラジオ)の金曜日の放送が、編成上の都合で同年9月に終了することでした。
「オバサン(OVER THE SUNの略称。以下、オバサン)は、スーさんから『堀井さんと自由にしゃべれる場所を残してほしい。地上波が終わるならPodcastでやりたい』という要望を受けて生まれたんです。当時のTBSラジオでは、Podcastでオリジナルのコンテンツを制作する予定はなかったにも関わらず、編成からGOが出た。結果的に、局として初めてのポッドキャスト専門番組としてスタートしました」
編集作業を行う局員2人、パーソナリティ2人という最小人数でのスタートを切った『オバサン』。普通のラジオとは違う作り方だからこそ、スーさんと堀井さん、そしてリスナーの魅力が大いに発揮されていると、吉田さん。
「Podcast番組なので時間の制約がないのも、地上波との大きな違いですね。何せ『おおよそ30分』と言いながら、1時間超えなんて当たり前ですから(笑)。だけど『オバサン』はその特性が存分に生かされていて、リスナーからの長尺メールも全部読んでいます。普通なら要約してお届けしますが、『オバサン』リスナーのメールは前段から締めまで全部面白い。分量も文体もお手紙みたいで素敵なんです。それはきっと、ラジオにメールを送ったことがない方が多いからだと思うんですが、それこそが番組の空気感や味を生み出している気がします」
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