当記事は「FUTURE IS NOW」の提供記事です。元記事はこちら。 バーバーとヘアサロンという垣根を超えて、人と人がつながるコミュニティスポットとなっている「INN THE PEOPLE」。
人とのつながりによって人生に転機が訪れたという店主の岡本佳隆さんは、人と人をつなぐ架け橋になってきました。
どうしてそこまで人と人のつながりを大切にするのでしょうか。岡本さんに聞きました。
全ての始まりは、アメリカで触れたバーバー文化から。
愛知県名古屋でヘアサロンとバーバーを併設する「INN THE PEOPLE」。
ランニング・コミュニティ「COMMON LANDSCAPE」を主宰するほか、オンラインショップ「床屋手帳」や、ポッドキャスト番組「PEOPLE HOUR」を展開することから、人と人がつながるコミュニティスポットとしても機能しています。
店主の岡本佳隆さんがコミュニティを意識したのは、2012年ごろ。今のようにバーバーを併設する前、美容室のオーナーとして、店内で運営していたジェネラルストアで販売する雑貨を買い付けるため、アメリカのニューヨークやポートランドを訪れたことがきっかけでした。
「その当時はバーバーをやろうとは全く思っていなかったんです。ところが、ニューヨークやポートランドのバーバーに訪れてみたら、倉庫のように広くて開放的な店内の真ん中に大きなソファーが置いてあって、その両サイドでカットしている人たちは刺青だらけなのに、立ち振る舞いがクラシックでかっこよすぎて。目の前に広がったこの光景は、僕の知っている町の床屋にはないクリエイティブな空間でした。
まずそこに衝撃を受けたんですが、飛び込み客として髪を切りたいと伝えると、驚くほどフランクに『じゃ、その辺で待っていて』と真ん中のソファに案内されて。
それで待っていたら、隣に座っているお客さんに『お前、日本人か?』なんて聞かれて、全然英語も話せないけど仲良くなって、いろいろなお店を教えてもらったんですよ。
気がつけば理容師さんたちとも自然と会話が生まれていて。この光景に触れた時、これだと思いました」。
当時としては珍しい、バーバーの中にカフェを併設していたり、オリジナルのアパレルグッズを販売していたりと、日本のただ髪を切るだけの“床屋”とは違う、アメリカのバーバー文化に触れた岡本さん。
アメリカのバーバーで生まれていた新しいコミュニケーションのあり方に惹かれ、日本でバーバーを開店することを決めます。瞬時にこの決意ができたのは、若かりし頃に体験した人とつながる心地よさがフラッシュバックしたから。
「高校生の時、古着屋さんによく通っていたんです。その古着屋の店主に僕の人生はすごく影響を受けているんですが、その人からもたくさん人をつなげていただいて。そこでできた人とのつながりに何度も救われたし、人生自体も大きく変わったんです。
ただのきっかけといえばそれまでですが、そこには必然性があるのも確かだと思うんです。だからこそ、人生にドラマが生まれておもしろいと。ただのつなげたがりといえば、それもそうでしょうけど(笑)」。
「INN THE PEOPLE」では、アート作品やレコードがあちこちに。
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