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さらなるつながりを求めて、ランニング・コミュニティを発足

バーバー開店という夢を叶えるため岡本さんは3年かけて通信学校に通い、理髪師の免許を取得。これまで運営していたヘアサロンと床屋を融合させ、2015年に「INN THE PEOPLE」をリニューアルオープンさせます。

アメリカで見たバーバー文化に、自分なりのスタイルを掛け合わせた新しい床屋を思い描きます。

「アメリカで見たバーバー文化を日本に広めようとは考えてなくて、とにかく自分が理想とする気持ちのよい床屋さんをやってみようという気持ちでした。

当時店内にあったジェネラルストアで自分好みのコーヒー豆や古着、本などの雑貨を販売したり、好きなアートやレコードといった自分の生活にある自然な形をそのまま店内で表現しました。

そうしたら、いつしか共通言語を持つお客さんが足を運んでくれるようになったんです」。


 
お客さんが増える一方で、忙しさのあまり、お客さんと話せなくなるという、思わぬ誤算が。ジレンマを抱えた岡本さんは、ランニング・コミュニティ「COMMON LANDSCAPE」をスタートさせます。

「お店が忙しいんだったら、お店を飛び越えてお客さんとコミュニティをつくろうと、お店に来てくれていたお客さんとランニングコミュニティを立ち上げました。

ちょうどその頃、世界でランニングカルチャーブームみたいなことが起きていて、僕らが幼い頃に遊んでいたストリートの世界と似ていたんです。だけど当時僕はランニングなんてしたことなかったんですけどね(笑)」。
 


新たなるコミュニティを作ったもののメンバーは一向に増えず、2年間は2人っきりで走る日々。別の友人の一人が仲間を連れてきてくれたことを皮切りに、徐々にメンバーは増え、今では40人ほど。現在は名古屋と東京の2つの拠点で活動を行っています。

「やっぱり誰かと一緒に走ることは、楽しくて心が豊かになりますね。とくに特別な会話をするわけではないですが、ファッションや音楽、アートを共通言語に、オリジナルのプロダクトを作ったり、イベントを開催したりして。

いつしか、ここで出会った仲間同士で仕事を一緒にしたり、メンバー内で結婚する人まで出てきました。

知らないうちにどんどん輪が深まって。COMMON LANDSCAPEは、それぞれの熱量があったからこそできた、生命体のようなものだと思います。走らなければ見えない景色が確かにそこにあったんです」。


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