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場所や立地は関係ない。どこにいたって人と人はつながれる。

2015年に「INN THE PEOPLE」と「COMMON LANDSCAPE」をスタートさせ、人と人をつないできた岡本さん。実際にコミュニティ形成を実感したのは、意外にもコロナ禍以降だと言います。

「うちのお店って普通の住宅街にあるのに、実は地元のお客さんが結構少なくて、遠方から来てくれるお客さんが多いんです。コロナ禍以降もはるばる来てくださって。なかには韓国から来てくれる人もいるんです。

そうした中、ある時、岐阜から1時間半くらいかけて来てくれる方が『ここに来る道中も楽しみにしている』とおっしゃったんですよね。

僕はそれを聞いて、街や立地を超えた何かに気づいたんです。それでこの先、『INN THE PEOPLE』を、人を起点にしたコミュニティスポットとして、より機能させていきたいと強く感じました」。

「INN THE PEOPLE」は右側がバーバー、左側がヘアサロンとなっている。

「INN THE PEOPLE」は右側がバーバー、左側がヘアサロンとなっている。


さらに岡本さんは2020年6月、友人と一緒にポッドキャスト番組「PEOPLE HOUR」を開設。毎回ゲストを招き、その人が次のゲストを紹介してつなぐ形式を採用しています。

岡本さんも友人も知らない人がゲストとなるこのスタイルにしたのも、人とのつながりを大切にしてきた岡本さんだからこそ。

「僕が人とのつながりを大事にする理由は二つあって。一つは、リレーションの重要性と可能性があること。人とのつながりには安全地帯のような性質があるので、ありのままの自分でいられるんですよね。

もう1つは、共通言語を持つ仲間がいることで、新たな目標に向かって助け合うことができること。とまぁ語ってみましたが、人とつながることって単純に楽しいんですよね(笑)」。

そんな岡本さんが思う、この先の新しいつながりとは?

「僕はこれまで人と人をつなぐことを大切にしてきましたが、この先は人と体験をつないでいきたいと思っています。たとえば、『INN THE PEOPLE』と関わることで、旅のような体験ができたり。こうした人と体験をつなぐために、近い将来、小さな宿泊施設を開業したいと考えているんです。

実は今年にお店を東京に移転予定で、この新たな土地でその夢が叶うかはまだわかりませんが、床屋さんの枠を飛び越えて髪を切るだけではない新たな体験を届けていきたいんです」。



[Profile]岡本佳隆●愛知県出身。2009年にオーナーとして美容室「SHIKI」をオープン。2015年より理容師として活動を開始し、店名を「INN THE PEOPLE」に変えてリニューアルオープン。さらにランニング・コミュニティ「COMMON LANDSCAPE」を立ち上げ、名古屋や東京をフィールドにグループランを主催する。2022年、「INN THE PEOPLE」を東京エリアに移転オープン予定。


船橋麻貴=文
記事提供:FUTURE IS NOW

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