「モヤモヤ り〜だぁ〜ず」とは…… 本日の相談者:メーカー勤務・42歳「営業職でマネジメントをしています。Z世代と言われる若手の教育を任されることが多いのですが、私は過去教育されてきた体育会系のスタイルで貫いています。
相手によって上司の言動がぶれるほうが良くないと私は思っていますが、同僚からはZ世代はメンタルが弱いから気をつけて、とも言われます。私はスタイルを変えたくないのですが、気をつけるべきことを教えてください」。
アドバイスしてくれるのは…… そわっち(曽和利光さん)1971年生まれ。人材研究所代表取締役社長。リクルート、ライフネット生命保険、オープンハウスにて人事・採用部門の責任者を務めてきた、その道のプロフェッショナル。著書に『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『日本のGPAトップ大学生たちはなぜ就活で楽勝できるのか?』(共著・星海社新書)ほか。
精神疾患の罹患数を見てみると
本当にZ世代はメンタルが弱いのか、まずはデータを見てみましょう。
3年に一度実施されている厚生労働省の直近の「患者調査」(2020年)によれば、うつ病等の気分障害に罹患者は、年代別ではX世代にあたる40代と50代が約37万人と最多です。
一方、Z世代にあたる20代は約14万人で、未成年を除けば(20歳未満は2万人弱)最少です。この数字だけをみれば、Z世代のうつ病患者はむしろ少ない。
X世代とZ世代の人口比(約2倍)を考えても、Z世代のほうが多いとは言えないでしょう。もちろんX世代が20代だった30年前と本来は比較すべきかもしれませんが、今と精神疾患に関しての考え方が異なるので比較することは難しいです。
ただ、現在においては、中高年のほうが精神的な病気にかかっているということは事実です。
メンタルの弱さを隠さないだけではないか
つまり、ご相談の前提となっている「Z世代はメンタルが弱い」は、明白な事実とは言えません。それはおそらくX世代と比較して、自分のメンタルの弱さや悪化について、隠すことなく大っぴらに言ってしまうからではないでしょうか。
思い返せば、私が社会人になった30年前には、精神疾患に関しては偏見も多く、「精神科に通っている」=「ダメなやつ」というレッテルを貼られかねず、会社での処遇にも響くような状態でしたので、どんなに辛い状態になっていたとしても、言い出しにくかったわけです。
ところが現在で精神疾患は「誰でもかかる可能性があるもの」「ダメなわけでも弱いわけでもない」と思われるようになってきたので、若いZ世代は辛いときには辛いと言いやすくなりました。むしろ辛いと言えるのは強さかもしれません。
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