人気の理由は「昭和・平成レトロブーム」と同じ
アホ携帯が売れるのはなぜなのか。山崎氏は3つの要因を挙げる。
一つ目の理由は容易に想像がつくかもしれないが、スマホ中毒からの脱却だ。最小限の機能に終始する携帯電話を持つことで、何時間もSNSなどに時間を費やすことがなくなる。
アメリカの調査会社、カウンターポイント社のレポートでも「Z世代とミレニアル世代が抱くスマホとSNSがもたらす精神衛生上の懸念から、米国市場ではフィーチャーフォンが復活している。台数の伸びは大きくないかもしれないが、デジタルデトックスとしてフィーチャーフォンを求める消費者の需要は続くだろう」としている。
次にプライバシーの懸念。GAFAを中心としたビッグデータを保有するIT企業による個人情報の取得を回避しようとする動きだ。山崎氏の友人で、米アマゾンAWSのAI部門に勤務している女性は、5年ほど前から個人情報保護を理由にSNSをほとんど使っていないという。「テキストがログとして残るのもイヤなのだとか。テクノロジー色の強い人ほど、SNSなどから距離を置いている印象です」(山崎氏)。
そして3つ目がノスタルジーだ。例えば日本では、1986年に発売されたレンズ付フィルム「写ルンです」や、1990年代後半に女子高校生の間で流行した「ルーズソックス」がときを経て再ブレイクする「昭和・平成レトロブーム」は定期的に起きる。それと同じ原理だと山崎氏は話す。
「例えばニューヨーク・ブルックリンは、若者のトレンドの発信地でもありますが、そこへ行くと山下達郎や竹内まりやといった1980年代や90年代の音楽がかかっているんです。そういう、自分たちが経験したことのない時代へのノスタルジーがあり、同じようにフィーチャーフォンを触ったことのない若者が、古い時代への郷愁からアホ携帯を手に取っているようです」
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