共演者から得た情報が、自分の新しい気づきに
編集部 アナウンサーという職業柄、日々大量の情報を目にしていますよね。その中には自分にとって必ずしも必要じゃないものもあると思いますが、その折り合いはどうつけていますか?
西川さん 私自身、情報の取り扱いに迷いがあったのですが、コロナ禍で気づきがあったんです。それまでは仕事で必要な情報について一生懸命勉強していましたが、コロナ禍に入って余白の時間が生まれた時に自分の周りを改めて見渡してみると、番組やゲストの方に教えていただいた映画や本、音楽ばかりでした。誰かから与えられた情報しかなく、自分が自発的に取りに行ったものはほとんどなかったんです。
これは日々溢れ出す情報に気を取られて焦っていたからだと思うんですが、自分の人生なのにこれでいいのかなと。そう気付いてからは、自分の好みを優先できるようになりました。
編集部 コロナ禍以降は仕事とプライベートのオンオフをしっかりと切り替えているのですね。
西川さん ところがコロナ禍が落ち着いた最近は、オフのときに吸収したものについて番組で話したりして。コロナ禍真っ只中の時はしっかりと自分と向き合えていたのに……という気持ちもありましたが、結局自分が心から好きで感動したものについての話じゃないと、リスナーにバレちゃうんですよね。だから情報の取捨選択は自分の好みを優先して、そこに共演者やリスナーの方を巻き込んでいくかたちにしています。
自分の好みを優先という話で言えば、『VIVANT』(TBS系/2023年7〜9月オンエア)がいい例かもしれません。『クリエイティ部』の共演者のみなさんが大ハマりして番組内でもよく話題にあがっていたのですが、実は私は1話と最終話しか見てないんですよ。アナウンサーとしては絶対によくないんですけど……、全話追いかけなかったことで見てないリスナーの気持ちが理解できて、フラットな目線で番組の進行ができた気がします。まぁプラスに受け止めすぎですけどね(笑)。あ、もちろん『VIVANT』はとても面白かったですよ。
編集部 あえてすべての情報を取りに行かなかった、と。番組や共演者から推薦されたものの中で、感銘を受けたものはありますか?
西川さん 金曜日に共演しているブルボンヌさんから熱烈におすすめされた「日プ」ですかね。韓国のオーディション番組の日本版『PRODUCE 101 JAPAN』のことなのですが、参加者のパフォーマンスレベルの高さや講師陣の情熱など、オーディション番組の進化に圧倒されました。一昔前と違って厳しさがすべてじゃないことを学びましたね。自分一人ではおそらく「日プ」には辿り着けなかったと思いますが、やはり信頼できる人が情熱たっぷりにおすすめしてくれたから、ここまで熱狂できているのかもしれません。
最近はネットでいろいろなものを購入できるし、自分の趣味嗜好に紐づいて情報が出てくるじゃないですか。その点、実際に人から不意に得られる情報って、偶然の中にも面白さがある気がしていて。というのも先日、月曜日のコメンテーターで小説家の山内マリコさんと一緒に本屋さんに行ったんです。
私は芥川龍之介の書籍を購入したんですけど、山内さんは『東京人』という雑誌を買われていて。そこからどんどん話が膨らみましたし、自分一人では出会えなかった情報にも出会えた。視野や思考を広げるためにも、他者が普段触れているものごとを取り入れるのもいいなって思いました。
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