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FOOD&COMPANYが無農薬だけにこだわらない理由


 
とはいえ、オーガニックと聞くとハードルが高いイメージは拭えない。「敬遠してしまう人の気持ちも分かる」と谷田部さん。 
 
「正しい消費をしなきゃ、オーガニックを買わなきゃ、っていう義務感は嫌ですよね。つまらないし、いずれしんどくなります。私自身、誇れる消費活動だけをしているわけじゃありませんし、安いから買うこともあります」 。
 
こうしたしなやかな考え方はFOOD&COMPANYがセレクトする商品にも反映されている。 
 
「うちでは有機野菜などオーガニックのものをたくさん扱っていますが、必ずしも農薬を使わないことが正義だとは考えていなくて、テクノロジーや化学の恩恵と上手に付き合っていく柔軟性が大事だと思っています。

生産者とのコミュニケーションが十分に取れる立場にいるので、認証制度にもこだわっていません。科学的根拠に欠ける『農薬は怖いよ〜』っていう“fear marketing”(恐怖を煽るマーケティング)もやりたくない。 

それよりも、オーガニックの本質である利他的な姿勢をベースに、日々の消費活動の判断基準にも他者へのやさしさや思いやりなど、人として当たり前のことをしっかり大事にできる環境を作りたいと思っています。

そういうマインドの人間が増えれば社会はもっとしなやかでリラックスした状態に近づけるはず、というのが私たちが掲げているビジョンです」 。

FOOD&COMPANYが掲げるオーガニックな5カ条 

谷田部さんが商品をセレクトする際に採用しているのが「F.L.O.S.S.」と呼ばれる5つのガイドラインだ。 


FRESH …食材を最も美味しい状態で届ける。品質と鮮度管理の徹底 

LOCAL …鮮度、フードマイレージ、作り手との長期的な関係性を大事にし、近郊の信頼できる生産者が作る食材を最優先に取り揃える 

ORGANIC …認証制度にとらわれることなく、自然の摂理を大事にしながら、環境や他者との調和を重んじる姿勢のある食材を優先的に取り揃える 

SEASONAL …栄養価が最も高く、環境負荷も小さい上にリーズナブルな食材。日本の四季の美しい循環を届ける 

SUSTAINABLE …自然の移ろいや適地適作を大事にした栽培方法であること。継続的に購入できる現実的な価格帯で、そこに関わるステイクホルダーがずっと笑顔で居られること 


確かに、F.L.O.S.S.の5か条に窮屈さは感じられない。

鮮度が良く、栄養価も高く、環境負荷も小さいリーズナブルな食材。そして、生産者も笑顔でいられる信頼関係が実現した経済の循環。窮屈どころか解放的。そこに参加できるなら、きっと気持ちがいい。 
 
「でも、難しいことは考えず、お店に来たらビールやおつまみなど、ご自身の好きな食材を気軽に手に取ってみてくださいね。細かいことは気にしなくてもいいよう、ここにきたらどれでも信頼して買える小売店を私たちは目指してるので」。
 
FOOD&COMPANYに来たら、いつものように好きなものを選べばOK。何を手に取ったとしても、その消費行動はオーガニックで優しい経済の循環に寄与する一挙両得だ。 


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