『花腐し』は、2人の男と1人の女が織り成す三角関係の物語。ピンク映画業界で映画監督を務める栩谷(綾野 剛)と脚本家志望の伊関(柄本 佑)、そして彼らが惹かれる女優・祥子(さとうほなみ)との関係が緻密に描かれている。
こんな複雑な役どころに、どのようにアプローチしたのか。
「特に印象に残っているのは、祥子に向けられる『いい女だったんだよ』というセリフについての解釈です。初めてこの言葉を目にしたとき、祥子がそんな評価に値するのか悩みました。
しかし、後になって考えてみると、このセリフは特定の人物像を指すのではなく、一緒に過ごしたときの感謝や懐かしさを表現しているのかもしれません。この視点から役を捉え直すことで、祥子との関係性が深まり、役に対する理解が増しました」。
©2023「花腐し」製作委員会
『花腐し』の撮影中、さとうさんは物理的に過酷なシーンに挑戦。ザリガニに噛まれたり、土手から転げ落ちたり、長尺の濡れ場にも果敢に取り組んだ。
アクションシーンを多くこなすことから、体にはあざもできることがしばしば。
「綾野さんがアクションの指導をしてくれたおかげで、大きな怪我もなく撮影を終えることができました。
柄本さんは『火口のふたり』で荒井監督と一緒に仕事をされていて、そのときからのチームワークがこの撮影でも活きていました。柄本さんの存在が、言葉を交わさなくても自然と芝居に入れるような環境を作ってくれたと感じています」。
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