コラム連載「イタリア人マッシのブオーノ・ニッポン!」●日本の食文化をこよなく愛するイタリア人、マッシ。フードライターとして、そしてインフルエンサーとして活躍する彼が、独自の視点でブオーノな日本グルメを愛でまくる!
ツイッター(現・X)で投稿した「サイゼリヤの美味しい食べ方」シリーズで注目を集め、今や16万人超のフォロワーを抱えるイタリア人、マッシさん。
来日16年を経た現在はフードライターやエッセイストとして活躍。日本の食文化に日々魅了され続けている。
そんな彼に、イタリア人目線でブオーノ(美味しい)・ニッポンを語ってもらうこの連載、記念すべき第一回は、やはりイタリアンワイン&カフェレストラン「サイゼリヤ」にフォーカス!
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マッシミリアーノ・スガイ●1983年生まれ、日本食が大好きなイタリア人フードライター。 KADOKAWAよりフードエッセイ『イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ』を出版。 日伊文化の違いの面白さ、日本食の魅力、食の美味しいアレンジなどをイタリア人の目線で発信中。
こんにちは、マッシです。イタリア北部・ピエモンテ州に生まれ、トリノ大学院の日本語専攻で日本語を学んだ僕は、いつの間にか日本に住んで16年になる。
本業の日伊通訳者からフードライターに転身し、イタリア人の目線と感覚で食レポやエッセイなどを“美味しそうに”書いている。グルメに目がない僕は、日本という国と出逢ってこの才能を開花させたのだ。
日本料理が大好きになっていくなかで、サイゼリヤとの出逢いは衝撃的で、まるで初恋のようだった。イタリアの大衆的な食堂を感じられ、しかも現地に近い味なので、無意識に足がサイゼリヤに向かうことが多い。
多くのメニューはイタリア直輸入という魅力があり、イタリア人のように自由に好きな食べ方ができる。
サイゼリヤにハマってしまった僕は「
サイゼリヤの完全攻略マニュアル」を書いて日本全国で話題になった。この記事は2年で130万PVを超えて、現在も多くの方に楽しく読んでもらっている。
攻略マニュアルには、サラミと葉っぱを挟んで作るパニーニ、ピッツァにカリッとポテトを挟んで折りたたむカルツォーネ、オリーブオイルをかけるパスタなどのアレンジがたくさん。出てきた料理をそのまま食べずに、「掛ける、混ぜる、挟む」のひと手間を加えることで、より美味しいサイゼリヤの味を発見できるのだ。
プロシュート(生ハム)とサラミが、輸入元のイタリアで蔓延していたアフリカ豚熱の影響で販売終了となっていたが、2023年10月11日から、秋のグランドメニュー改定に合わせて、約1年4カ月ぶりに復活した!
また生ハムを使って大好きなアレンジができるようになったのは、言葉にならないほどうれしい。ただし、僕流の最強の食べ方を書く前に、ここで大事な説明がある。
復活したのは生ハムでも、イタリア産プロシュートではなく、スペイン産ハモンセラーノなのだ。実は生ハムは国、地域、作り方によって味と特徴、名前が変わる。
だけど、アレンジをすることで新たな味が生まれることは共通している。
まずは、イタリア産プロシュートとスペイン産ハモンセラーノはどこが違うのかを説明しないと、食べるときにその魅力が伝わらない。
プロシュートは皮つきのまま塩漬けの工程に入るため、味がマイルドで肉に甘味を感じられ、パンとよく合う。 ハモンセラーノは皮を剥いだ状態で塩漬けするので、 塩味と旨味がより強く感じられる。
生ハムが復活したことを祝って、美味しい食べ方とアレンジを紹介しようと思う。
マッシ流アレンジ① パニーニにする
イタリアでは生ハムをそのまま食べる人はほとんどいない。大多数はパンに挟んでパニーニにして食べる。
まずはサイゼリヤのミニフィセルを半分に切って、断面にオリーブオイルと塩を掛ける。
頼んだモッツァレラサラダのモッツァレラを切って、野菜と生ハムと一緒に挟んでから、さらに少し塩をかけたらパニーニの完成だ。ほうれん草のソテーもパンと生ハムに合うから、オリーブオイルをかけて具を挟むだけで、最高の味になる。
マッシ流アレンジ② ピッツァにのせる
続いては、よりシンプルなアレンジだ。熱々のピッツァ(マルゲリータでもなんでもあり)に生ハムを乗せて軽くオリーブオイルをかければ完成だ。
ピッツァのトマトとチーズに生ハムの塩味が合わさることで、口の中に旨みの嵐が巻き起こる。とんでもない美味しさだ。
マッシ流アレンジ③ サラダと一緒に
シンプルなグリーンサラダに、線切りにした生ハムを加えてオリーブオイルもかけることで、高級感のあるサラダになる。そのままでもパンと一緒でも、結果は同じ。要するに、最高の時間になるということだ。
その場にある調味料を使って、既に美味しいものをさらに美味しくする、食への探究心は止められない。この「ひと手間」のアレンジをすることで、まるでイタリア人のような気分を味わうことができるのだ。
いつもとひと味違った、自分が食べたいぴったりの味と出逢える。これからは、自分らしくサイゼリヤと付き合っていこう。
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