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50年から先、パタゴニアが描くビジョンとは

パタゴニアを代表するアイテムを、天然素材やリサイクル素材で再生させた「ナチュラルアイコン」秋冬コレクション。

自然とのつながりを見つめ直すメッセージが細部にまで感じられたが、50周年を迎えたいま、パタゴニアはどんなビジョンを描いているのだろうか。



「50周年のコレクションを作るにあたって、パタゴニアが今後、何を残すべきで何を捨てるべきなのかを振り返るきっかけになりました。

1つの製品を作るのに、どれだけ環境に負荷をかけているのかを私たちは知っています。負荷をなるべく減らすような素材や製法を採用していますが、それでもゼロになるわけではありません。

ものを作るのはとても楽しいし、本音を言えばもっと作りたいですが、やはり、長く使える製品を作ることが私たちの責任だと思っています。

つまり、トレンドを追わない。トレンドはいつか廃れますし、早いサイクルでゴミを生むことになります。パタゴニアは今後、タイムレスなデザインと素材の耐久性にさらにフォーカスして行こうと考えています」。



そして、生産者や消費者のマインドチェンジの必要性にも言及した。

「パタゴニアの製品は、他社と比べて金額が高いと言われがちですが、たとえば、私たちが作るTシャツは10年持ちます。トレンドのあるものや耐久性の低いものを購入して買い替えるのと、どちらが高いのか。そういう視点も持ってもらえたら嬉しいですね。

地球環境が悪くなればなるほど、私たちの生活にコストとして必ず跳ね返ってきます。環境破壊は待ったなしの状況なので、生産者と消費者で1つのものを長く使う、というメンタリティにシフトすることが大切です」。


「自分たちが作っていて楽しいもの」を形にしたという50周年のコレクションは、普段のパタゴニアのさらに上を行く遊び心とメッセージ性に溢れていた。

沼尾翔平=写真 ぎぎまき=取材・文

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