銀座の北の外れ、昭和通り沿いに昭和7年(1932年)に建てられ、90年以上経ったいまでも当時のままの姿で佇む小さなビルがある。界隈では、こうした空襲を免れた戦前の建物はもうほとんど見かけなくなった。
ビズビムはこのビル一棟を使った新たなショップ「F.I.L. GINZA」を10月8日にオープンした。
【写真10点】「銀座にオープンした『F.I.L. GINZA』」の詳細写真をチェック 変色した加飾タイルの外壁が目をひくこの建物は、もとは油屋だったそう。
当時、この規模の民間の建造物でコンクリート造はとても珍しい。今回の改修工事で見えてきたオリジナルの意匠には、素材に不慣れな職人たちが試行錯誤しながら手探りで施工していった様子が残っていたとか。
杉天井など、一部に日本建築の技術が取り入れられている点もユニークな点だ。
改修デザインを考える際、もとの建物が持つ魅力を引き出すように配慮したという。よって、2、3階の床材や3階の天井など、当時の素材はできるだけ残されている。
窓枠は当時のデザインを忠実に復元したもの。
これは、改修工事中に2階東側の壁の中から現れたオリジナルの窓を模して金属加工の職人が制作した。
古いものをただ保存するのではなく、必要に応じて手を入れて使いながら残してく。
ビズビムの服が持つ魅力と目指すクリエイティブの未来を、まさに空間で表した新店には、当時の職人と現代の職人の仕事が絶妙に調和した心地良い空気が流れている。
F.I.L. GINZA
住所:東京都中央区銀座1-20-17
電話:03-3528-6500