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パラブーツの人気モデル④「コロー」

「コロー」ボイルレザー ノワール 3万5200円/パラブーツ(パラブーツ青山店 03-5766-6688)

「コロー」ノアール 3万5200円/パラブーツ(パラブーツ青山店 03-5766-6688)


簡単に申せば、前述した「バース」をローファーとしたのが、この「コロー」だ。夏っぽいイメージのあるモデルだが、実はここ数年は年間を通じて売れているんだそう。



ステッチが白ではなく、アッパーと同色でスマートな印象。その結果、タイドアップしたスーツ姿ではなく、今どきのビジカジ向けに購入される人が確実に増えているとのこと。なるほど、その履き方なら通年で使えそうだ。

アウトソールは「マリンソール」が標準装備だが、ほかにも気持ちラギッドな表情を有するミッドソールも入った「レイドソール」仕様のものもある。ゆえに、合わせる服や場に合わせて、買い分けることができるのだ。

ユーザーニーズを細かく掴むのに長けた、パラブーツらしい配慮と言えるだろう。

コローは、スニーカーより「1.5〜2.0小さいサイズ」が目安!

ph:右のコローは26.5(UK8)、左のスニーカーは26.5(US8)

右のコローは26.5(UK8)、左のスニーカーは26.5(US8)


岡部店長によると、「コロー」のサイズ選びは、日本サイズ基準だと、スニーカーのサイズ-1.5が大まかな目安。足の形状や履き方次第では-2.0となるそうだ。


写真は26.5(UK8)を使用。ソール全長29.1cm/足囲幅25.8cm(編集部調べ)

写真は26.5(UK8)を使用。ソール全長29.1cm/足囲25.8cm(編集部調べ)


「『コロー』は、前出のバースと同じく、つま先に先芯がつかず、ライニングもつかない簡素な構造。素足で履くことも想定されたモデルです。

アッパーの革もバースと同様の、タフでありながらソフトなものを採用しています。ですので、原則それと同じサイズで大丈夫ですが、レースアップではなくスリッポンですので、人によってはサイズを変える場合もありえます。

直営店でのフィッティングであれば、この辺りもお客様の足からキチンと判断してご案内いたします」。

パラブーツの人気モデル⑤「ミカエル」

「ミカエル」リス・ワクシーレザー マルーン 9万4600円/パラブーツ(パラブーツ青山店 03-5766-6688)

「ミカエル」マロン 9万4600円/パラブーツ(パラブーツ青山店 03-5766-6688)


リシャール・ポンヴェール社の3代目であるとともに、現在の同社会長でもあるミッシェル・リチャード氏が産まれたのを記念し、1945年に登場したのが、彼の名をラテン語読みしたこの「ミカエル」。

そのものズバリの命名となったこのチロリアンシューズは、それまで存在した「モジーン」というモデルをアレンジしたものである。

リス・ワクシーレザーを使った、ミカエルのアッパー。

被せモカシンと、脱ぎ履きしやすい2穴鳩目。さらには、上端面にギザギザがあるウェーブ仕様のウェルトがつく、ノルヴェイジャン製法。チロリアンシューズのお約束はしっかりと守りながら、ボリュームがあって、カジュアル感が強い。

とはいえ、本格登山に用いるガチのものに比べると、顔立ちが幾分マイルドかつ都会的。1980年代、イタリア・ミラノでの劇的な再評価に繋がったのみならず、そのあとのパラブーツのクロスオーバー的な方向性の基礎にもなった。

「ミカエル」は言わば、パラブーツの「中興の祖」的存在なのだ。

アウトソールには、ヒール・ソール一体型の「マルシェⅡソール」を採用。原型は、1950年代にまで遡れるロングセラー。地厚で、凸凹が顕著なのは、山岳地域の砂利道など、舗装されていない厳しい環境の路面を想定して設計されたものだから。

これを、ミッドソールつきのダブルソール仕様とすることで、見た目と性能ともにいっそうタフなものに仕上げている。

ミカエルは、スニーカーより「1.5〜2.0小さいサイズ」が目安!

右のミカエルは26.5(UK8)、左のスニーカーは26.5(US8)

右のミカエルは26.5(UK8)、左のスニーカーは26.5(US8)


岡部店長によると、「ミカエル」のサイズ選びは、日本サイズ基準だと、スニーカーのサイズ-1.5が一応の基準。

ただし、足の形状や履き方次第では-2.0とする場合もあるとのこと。また、「ヨーロッパサイズ表記」を採用したモデルであるため、「UKサイズ表記」とのわずかな間隔・感覚のズレにも注意しているそうだ。


写真は26.5(UK8)を使用。ソール全長29.2cm/足囲幅28.9cm(編集部調べ)

写真は26.5(UK8)を使用。ソール全長29.2cm/足囲28.9cm(編集部調べ)


「『ミカエル』はチロリアンシューズですので、比較的に寒冷な地域で厚手の靴下を履くことを大前提とした木型を採用しています。そのため、全体的に大きめの作りに。

特に、踵が大きく、履き口も広く、さらには鳩目も2穴ですので、一見ゴツく見えますが、フィット感は逆にとても寛容なんです。ですので、快適な履き心地を得るには、ローファーのように、やや下のサイズでご案内しています。踵に合わせて履く感じ、と申し上げればより適切ですね」。

パラブーツのお手入れは、決して難しくない!

左からシャンボード、アヴィニョン、ミカエル

左からシャンボード、アヴィニョン、ミカエル


アッパーの牛革のユニークさでも知られるパラブーツ。中でも、蝋分の含有率が一般的なものに比べ、かなり高い「リスワクシーレザー」が有名だ。

今回、ご紹介した5モデルでは、「シャンボード」「アヴィニョン」「ミカエル」に用いられ、タフで耐水性も優れる割に、履き馴染みに優れ、光沢も独特の底光り感があってファンも多い。

「お手入れが複雑そう……」と誤解されがちだが、岡部店長いわく「一般的な牛革のアッパーと同じお手入れで大丈夫です!」とのこと。

つまり、ブラシとクリーナーで汚れを落とし→乳化性クリームを塗布→ブラッシング→乾拭きでOK。

お好きな方なら、そのあと、油性ワックスで鏡面磨きを施しても、何気に上手くキマる。過度な使用は禁物だが、ワイルドな雰囲気を出したければ、専用のグリースを極々薄く塗ってもかまわない。

左からバース、コロー。

左からバース、コロー。


「バース」や「コロー」のアッパーには、それとは異なる「ボイルレザー」が用いられているが、こちらも上記同様のお手入れで大丈夫だ。

パラブーツのサイズ選びをまとめると……

パラブーツの代表的な5モデルのサイズ選びをまとめると、こんな感じになる。
日本サイズ基準では、スニーカーのサイズの
シャンボード:-1.0 もしくは -1.5。
アヴィニョン:-1.0 もしくは -0.5、 -1.5。
バース:-1.5 もしくは -2.0。
コロー:-1.5 もしくは -2.0。
ミカエル:-1.5 もしくは -2.0。



最後に、パラブーツならではのフィッテイングの特徴・クセを岡部店長にお伺いしてみた。

「弊社のラバーソールには、底面のクッションにコルクを用いていないので、ほかのブランドの靴に比べると、経年によるインソールの『沈み込み』が少ないです。ですので、それを考えずに、サイズを判断した方が良いでしょう。

具体的には、試着時に先芯に指先が当たっていると、履き込んでもそれが緩和される確率は低いので注意してください。

また、『シャンボード』や『ミカエル』で多く見られるのが、足長は合っているのに甲が余って微妙に大きく感じる状態です。こんな場合は、下手にサイズを落とすより、厚手の靴下を着用するなどして微調整するのがベストです。

このようなノウハウも、しっかりレクチャーしますので、初めてパラブーツを買われる際は、ぜひ直営店でフィッティングをしてもらった上で選んでください!」。

飯野高広=取材・文 新澤 遥=写真

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