フランスのシューズブランド、パラブーツ
パラブーツは靴職人のレミー・アレクシス・リシャールが1908年に創業した、フランスを代表するシューズブランドだ。
登山靴や軍用靴の製法を活かし生み出されるアイテムの数々は耐久性&快適な履き心地を備え、創業当初よりタフな環境のワーカーから絶大な支持を獲得した。
そして、近年ではベーシックで汎用性の高いスタイルが評価され、ファッション感度の高い人たちからも人気を博している。
【写真9点】「パラブーツ“シャンボード”の人気のヒミツ」の詳細写真をチェック パラブーツの歴史
靴用の革の裁断師としてキャリアをスタートしたレミー・アレクシス・リシャールは、やがて自分がデザインした靴を売るようになる。1908年には工房を開設し、2年後にリシャール・ポンヴェール社を設立。さらに事業を拡大していく。
そして1926年、アメリカを訪れた彼は現地人が履いていたラバーブーツに着目。ラテックスと呼ばれる新素材に興味を抱く。
帰国後、試行錯誤の末に独自のラバーソールを成形することに成功。ラバーソールの原料となるアマゾン産天然ラテックスをブラジルのパラ港から輸入したことなどからブランド名に「パラブーツ」と名付けたのだった。
パラブーツのサイドゴアブーツ。
大戦中などは原料不足に直面。生産や経営は困難を極めるも、これまで続けてきた伝統的製法やモノづくりのポリシーを貫徹。
結果、彼らが生み出してきた数々の丈夫な靴は農業者や工員といった人々からより強い信頼を得ることになる。そして、’60年代にはスポーツ分野にも進出。
パラブーツのマウンテンブーツ。
’80年代初頭にはラグジュアリーブランドとのコラボをきっかけに知名度を上げ、世界中に販売網を拡大。今や世界的シューズブランドとして多くの人々から愛されている。
シャンボードの特徴・人気の理由
「シャンボード」はパラブーツが1987年に発表した代表作であり、多彩なラインナップの中でもひときわ高い人気を誇る。
U字型のモカシン縫いが施されたダービーシューズで、重厚な見た目と肩肘張らないデザインが特徴だ。
ドレスシューズにはない“登山靴譲り”の耐久性と快適な履き心地、そしてどのファッションスタイルにも息を合わせられる万能さがウリである。
洗練されたデザイン
シャンボードは、Uチップのダービー(外羽根)デザイン。革靴とはいえそれほどかしこまった印象は与えず、登山靴の意匠を取り入れた武骨なシルエットも相まってスポーティな空気さえ漂わせている。
そのため、アウトドア系のコーディネイトはもちろん、フレンチカジュアルやトラッドスタイル、ビジネスにも合わせやすく、その応用の幅こそ同作の真骨頂といえる。
上質な素材
パラブーツは、優れた弾力性や耐久性に加え、光沢感や良質な肌触りも備えた高品質な革を採用している。
その最上級の革を熟練の職人がさらに吟味し、細かいシワや傷などをカッティングしたうえで次なる製造工程に進む。
特に、シャンボードは革の中でも最高級とされるカーフレザー(生後6カ月以内の仔牛の革)を、独自の製法で鞣したリスレザーを採用。
このリスレザーは、通常のレザーよりも油分を多く含ませているのが特徴で独特な光沢を放つ。その輝きは“フランスの宝石”とも称賛されるほどだ。
快適な履き心地
足を尊重した製法を守り続けるパラブーツ。シャンボードも、足の形態とサイズを徹底的に研究して作られている。
例えば、靴内部に投入された大量のコルクは足への負担を軽減し、天然ラテックス100%のソールは着地の際の衝撃を和らげる。
それにより、たくさんの骨や血管、神経で構成される足を守り、歩行の際の疲労を軽減するのだ。
優れた耐久性
第二次世界大戦以後、プラスチックソールの安価な靴が作られるようになったが、パラブーツはかたくなに手間のかかるグッドイヤー製法やノルヴェージャン製法を用いてきた。
それは、堅牢かつ重厚で、ハードな使用にもびくともしない靴を作ることにこだわってきたため。シャンボードにもその精神は脈々と受け継がれ、今なお支持を得続けている。
しかも、良質な革はしだいに持ち主の足に馴染んでいき、いつまでも気持ちよく履き続けることができるのだ。
まとめ
高品質な素材、伝統的な製法、熟練の職人の技術によって実現する優れた耐久性と快適な履き心地。それに輪をかけ、フランスのエスプリが漂うスタイリッシュなデザインが魅力のシャンボード。
いつものファッションスタイルに“プラスアルファ”を求めたい人は、きっと最良の選択肢のひとつになるはずだ。