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2023.08.13

あそぶ

【専門家監修】悲しい水難事故を起こす前に。大人が絶対に知るべき「水の知識」



梅雨明け以降、全国各地で水難事故が相次いでいる。幼い児童や救出に向かった保護者が犠牲になるケースも目立つが、オーシャンズ世代はこれを決して他人事と捉えてはいけない。

なにせ夏はまだ始まったばかり。これから海や川へ出かける家庭も多いだろう。もちろん大いに楽しむべきだが、最低限の準備は整えてゆくべし。

ということで今回は、水難学会の理事で、東京海洋大学准教授の田村祐司先生が語る「万が一に備えて覚えておきたい心得」をおさらい。お出かけ前にどうかご一読を。
田村祐司●東京海洋大学准教授、水難学会理事。「マリンスポーツ実習における海洋体験が受講生に与える影響」など論文多数。

家族の命を守る“川遊び”の必修知識「流されたら無理に泳がない!」


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夏休みは山でバーベキューやキャンプを楽しむ人も多いだろう。肉や野菜で腹を満たし、冷えたスイカをかじったら、そのまま目の前の川にドボーンッ!……まさに理想的な夏の1ページである。

しかし、浮かれすぎには要注意。文字どおり、川は一瞬の油断が命取りになる。

まず、同じ水遊びとはいえ、川と海では環境が大きく異る。

「海と違い、川は岩や人工物などの障害物が多いのが特徴。また、川底は苔などで非常に滑りやすく、転びやすいので、水中でも滑りにくいリバーサンダルやヘルメットなどがあると安心です。

川釣りなどで直接水に入らない場合でも、水辺に近づくときはライフジャケットを着けましょう。これが川での死亡率を下げる最も効果的な方法です」(田村教授。以下、カッコ内同)。

出典:河川財団『水辺安全ハンドブック』

出典:河川財団『水辺安全ハンドブック』


水難事故の死因で大きな割合を占めるのが「溺死」。言うまでもなく、人間は水中では呼吸ができない。海水と比べ、川の水は浮きにくく、大きく息を吸っても体の数%程度しか浮くことができない。

それでもライフジャケットさえ着用していれば、頭部が水面から出て呼吸は確保でき、生存率は跳ね上がる。

そのうえで、もし川に流されてしまったら、もしくは家族が流されてしまったらどうすべきか。詳細は以下の記事でぜひ確認してほしい。
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海で流されたときは「泳ぐ」ではなく「浮く」が正解!



事故は川だけで起きるわけではない。海をナメると必ず痛い目に遭うということも忘れてはいけない。

「水難事故による死亡原因の1位は”溺水”ですが、2位は”低体温症”なんです。つまり、救助を待つ間に、どのようにエネルギー消費と体温低下を防ぐかが生死を大きく分けるのです」。

そのために、海上保安庁が提唱しているのが「ヘルプ姿勢」だ。
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「ヘルプ姿勢」とは、「HELP(Heat Escape Lessening Posture)=放熱抑制姿勢」のこと。体温が放出されやすい脇下や肘、膝裏部分を隠すことで、体温低下を遅らせることができる。

ヘルプ姿勢(海上保安庁HPより引用)

ヘルプ姿勢(海上保安庁HPより引用


もちろん、すぐに助けを呼ぶことも重要だ。

「近くにライフセーバーがいれば救助を求めましょう。船での救助が必要な場合は118番に電話してください。海上保安庁に繋がります。もし、まだ陸から近いところにいれば、119番で消防に通報した方が素早く対応することができます」

以下の記事では、海で特に危険な場所「離岸流」の見分け方や家族が海に流されてしまったときの対処法などの詳細情報も掲載している。海へのバカンスを予定している人は、ぜひ荷造り前にチェックを。


注意事項ばかり確認していると、気が滅入ってしまいがちだが、事前に知識を身につけてさえおけば、リスクは大きく減らすことができる。

海や川を悲惨な事故現場にしないために、正しい知識と意識を持ったうえで楽しもう!

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