「大人だし、古着出汁」とは…… ドレス感を醸すインポートウェアをベースにした着こなしも、古着を1点投入すれば素朴さが加わり、奥行きも倍増する。
普段からそんな古着コーデを体現しているトゥモローランドのバイヤーである川辺圭一郎さんに、その極意を聞いた。
▶︎【写真10点】「ユーロ製リーバイス 501&ラングラーシャツの古着出汁」を写真でチェック 川辺圭一郎(かわべ・けいいちろう)●1989年生まれ、東京都出身。トゥモローランド吉祥寺店、トゥモローランド丸の内店などで販売職を経験後、2018年よりメンズのプレスに就任。現在はバイヤーとしても活躍。
① 4000円ほどで購入したラングラーのシャンブレーシャツ
トップス=ラングラー パンツ=トゥモローランド ピルグリム シューズ=フラテッリ ジャコメッティ 時計=カルティエ ピルケース=エルメス キーケース=シンヤ レザーバングル(左手)=エルメス オニキス付きバングル(右手)=アダワット トゥアレグ アイウェア=アルガワークス
川辺さんが古着に興味を持ったのは少年時代。きっかけは家族に対するアンチテーゼだったという。
「両親はコム デ ギャルソンなど、モード系ブランドが好きで、いつも黒っぽいファッションをしていたんです。僕もなんとなく同じようなテイストの服を着ていたのですが、反抗期だったのか、17歳頃から嫌になってしまって……。
ちょうどその頃から原宿のショップ『ゴーゲッター』といった音楽系カルチャーを感じる古着店がカッコいいなと思い始めて、いろいろ通いました。初めて購入した古着はリーバイス 501でしたね」。
コーディネートの中で、1〜2カ所にだけ古着を挿すのが”川辺さん流”だ。
スタイルのベースができたのはトゥモローランドに入社した頃で、ラングラーのシャンブレーシャツは当時から着用している。
使い込んで風合いが出たエルメスのバングル。
「とにかくラングラーのシャツが好きなんです。ほかにもデニムシャツなど数枚所有しています。こちらは’70年代のもので、デッドストックで購入しました」。
なんでも大きな襟のデザインが今の気分で、レトロだが決して古臭くないところに魅力を感じるという。
「このシャツは、今日のようにきれいめのストライプパンツやクラシックトラウザーと合わせることが多いです。あと最近仕事でパリに行ったからか、着こなしはセルジュ・ゲンズブール(フランスの作曲家・映画監督・俳優)のような昔のファッショニスタの影響を受けている気がします」。
② スラックスライクにはくユーロ・リーバイス 501
アウター=カルーゾ Tシャツ=マイルス・デイヴィス パンツ=リーバイス シューズ=カルマンソロジー ベルト=ユーゲン アイウェア=レスカ ルナティエ 時計=カルティエ オニキス付きバングル(右手)=アダワット トゥアレグ
そしてもうひとつ最近のお気に入りが、リーバイス 501。いわゆる”レギュラー古着”と呼ばれる定番モノだが、そこには川辺さんなりのこだわりが。
「一見すると普通の501なのですが、こちらはスペイン製、いわゆる”ユーロ・リーバイス”と呼ばれるものです。
通常出回っているアジア製の501とユーロ製では、使用している顔料が違うようで、インディゴの色落ち具合が微妙なんです。縦落ちはせず、どこかぼんやりとした雰囲気で、どちらかというとヤボったい感じ(笑)。でもそこがいい」。
川辺さんは現在、テーラー部門を担当していることもあり、この501にジャケットやブルゾンを合わせることが多い。
「上下でいいギャップが生まれるので重宝しています。ジャケットやブルゾンにスラックスだと堅くなりすぎてしまいますが、古着の501ならリラックスしてテーラードのものを着られるんです。
ちなみに収納する際にセンタークリースができるようなたたみ方をして、スラックス風にしてはくのが好きです」。
もちろんユーロ製501が好相性なのはキレイめなトップスだけではない。革靴と合わせてもいい仕事をする。
「古着のデニムと合わせるのはスニーカーが定石ですが、ドレッシーなレザーシューズやブーツなどとの合わせも、ジャケットと同様にいい温度差が出て有効なんです」。
ラングラーやリーバイスといった有名ブランドの定番古着は、得てして主役として扱いがち。しかし川辺さんのように”出汁”として効かせることで、奥行きのある大人の着こなしが完成する。