「大人だし、古着出汁」とは…… 再燃中の古着熱。過去にその恩恵を受けてきた大人は今、令和の世に古着とどう向き合うべきか? その答えなら、やはりこの人に話を聞くべきだろう。
連載『種カジのタネあかし』で活躍中の種市暁さんである。今回は彼から、着こなしの“出汁”となる古着術を学ぼう。
▶︎【写真18点】種市暁さんの愛用古着を写真でチェック 話を聞いたのは……種市暁さん 種市暁さん●本誌の連載『種カジのタネあかし』でもお馴染みのフリープランナー。アパレルだけにとどまらず、あらゆるコト・モノを仕掛けるアイデアマンは、公私共に国内外を飛び回る旅人でもある。インスタグラム (@taneichiakira)
「実家が、古着店が多い上野に近かったこともあり、よく通っていましたね」。
種市さんも古着の門戸を通ってきたクチ。とはいえ、やはり希少な古着に注目する世間とは、どこか一線を引いた目で見ていたという。
「当時持っていたものといえば、ほぼほぼレギュラー古着。先立つもの(軍資金)がなかったのもありますが、年代によって価値が変わる希少な古着にはそこまで興味が湧かなかったんですよね」。
種市さんが惹かれたのは、映画雑誌のなかの名優が着ている“よれたTシャツ”。彼らの着用アイテムや着こなしにインスパイアされることが多かった。
① 枯れた大人に似合う白いペインターパンツ
トップス=ウエスタンハイドロダイナミック リサーチ パンツ、バッグ=共にRTH シューズ=エルニド フリップス ベレー帽=不明 メガネ=金子眼鏡店
さまざまな経験を経て歳を重ねた今、古着選びもシンプルになってきたという。
「若い頃に似合う古着と、枯れてきた今似合う古着は違うと思います。例えば、昔は白い服を身に着けるとどこか背伸びしている感があったけれど、今であれば、枯れ感をフォローするいい手立てになってくれます」。
そんな彼がコーディネイトの出汁として使うのが、古着をリメイクした白いペインターパンツだ。
サイジングがちょうど良くて購入したこのパンツは、古着ならではの風合いが気に入っているという。
「新品だとちょっと気恥ずかしい白いパンツも、やれ感のある古着だと着やすくなります。新品の白と同化させることで、より自然に取り入れることができるんです」。
種市さん曰く、黒い服も以前より着る機会が増えたという。
「黒って、ギラついちゃうから若い頃には着られなかったんですが、今は手に取りやすい。自分が枯れてきているから、シャープなものがバランス的に帳尻が合うのかも」。
ちなみにこの着こなしは、とある雑誌に載っていた往年の名優を参考にしているようで……。
「『CUT(カット)』という映画雑誌に、リバー・フェニックスのオフショットのような写真が掲載されていたんです。
彼は白いコックパンツを穿き、そこへシンプルにTシャツとベレー帽を合わせていた。彼はよくメガネを掛けるんですが、インテリっぽさがずっと印象に残っていて。今日の服装は彼をイメージしています」。
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