写真:アフロ
「STAY YOUNG総合研究所」とは……▶︎すべての写真を見る 夏バテ防止食として知られるうなぎだが、その豊富な栄養は世代の肌や髪にも多大な恩恵をもたらしてくれる。
アンチエイジング食のエキスパートとともに、うなぎの実力を探る。
うなぎは美容にも効果テキメン!
教えてくれたのは管理栄養士・日本抗加齢医学会指導士の森 由香子さん●東京農業大学農学部栄養学科卒業。大妻女子大学大学院(人間文化研究科 人間生活科学専攻)修士課程修了。管理栄養士として医療機関をはじめ、幅広い分野で活躍中。食事からのアンチエイジングを提唱している。著書に『老けない人は何を食べているのか』(青春出版社刊)などがある。
日本におけるうなぎ食の歴史は古い。
奈良時代に成立した日本最古の歌集・万葉集に『石麻呂(いはまろ)にわれ物(もの)申(まを)す夏痩(やせ)に良(よ)しといふ物そ鰻(むなぎ)取り食(め)せ』という歌がある(出典:奈良県HPより)。
これは作者の大伴家持が、夏場、房事に精を出しすぎてダウンした石麻呂という貴族に、うなぎをすすめた戯れ歌なのだそう。
およそ1300年前、既に当時のプレイボーイ貴族たちはうなぎを食べていたようだ。平安時代、朝廷に献上された『医心方』という医書にも、うなぎの効用が記載されてる。
「夏バテ防止や精力増強で知られるうなぎですが、実は美容にも効果テキメンです。うなぎには、皮膚などの細胞の主原料となるたんぱく質を筆頭に、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンE、必須脂肪酸など、若々しい見た目を保つための栄養素が多く含まれているんです」。
そう語るのは管理栄養士の森由香子さん。
栄養素の種類だけでなく量も豊富。たとえば、うなぎの蒲焼き100gを食べるだけで、成人男性の一日の推奨摂取量の3分の1以上のたんぱく質を摂取できる。ビタミンEにいたっては、推奨摂取量の約80%を摂取できるという。
「どんなふうに調理しても栄養素は十分摂取できます。ただ、うなぎにはビタミンCや食物繊維が含まれていないため、野菜料理や果物などと一緒に摂れば、栄養バランスがいっそう整います。
少量でもエネルギー(カロリー)やビタミン類がしっかり摂れるので、夏場など食欲がない時季の栄養補給食にも最適です」。
精力アップだけでなく、肌や髪の若々しさもキープできるうなぎは、文字どおり男が上がるスーパーフードなのだ。
うなぎに含まれる美容栄養素
たんぱく質:肌のハリや弾力を保つコラーゲンのもとになる栄養素。不足するとシワやたるみ、肌荒れなどの原因に。
ビタミンB1:糖質の代謝を促すほか、エネルギーを作る手助けをすることで、筋肉や神経の機能を正常に保ってくれる。
ビタミンB2:肌の新陳代謝を促進するほか、脂質をエネルギーに変換することで過剰な皮脂分泌を抑えることができる。
ビタミンA:肌のターンオーバーを促進するほか、コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンの産生をサポートする。
ビタミンE:強い抗酸化作用を持つ“若返りのビタミン”。脂質の酸化を防ぎ、動脈硬化や血栓を予防する効果もあり。
必須脂肪酸(EPA、DHA):ホルモンや細胞膜を作る材料のこと。ビタミンA、D、E、Kなど脂溶性ビタミンの吸収を助ける働きもある。
亜鉛:前立腺や性腺に含まれ、性ホルモンの合成や精子の生成にも深く関係がある。“セックスミネラル”の別名も。