そしてもうひとつ。アバルトのガソリンモデルの「アバルト695」のエンジンサウンドを忠実に再現する「アバルト・サウンド・ジェネレーター」が「アバルト500e」に搭載されている。
42kWhのバッテリーと113kWのモーターを搭載し、満充電での航続距離は約265km。急速充電にも対応する。バッテリーは「フィアット500e」同様、床下に搭載。また、サスペンションはフロントにマクファーソンストラット式、リアにトーションビーム式と専用のショックアブソーバーを搭載する。
試乗は、まずはコースの下見も兼ねてガソリンエンジンの「アバルト695」で2周。コースは高速周回路とコーナーの多いハンドリングコースの組み合わせ。天候は雨。路面はウエット。気温は13度ぐらい。
「アバルト695」はMTで、トルクがあり、シフトチェンジ時に200回転ぐらい自動で上がるらしく、シフトチェンジがしやすい。しかし何より運転が楽しい。そしてこの時に聞いたエキゾースト音……。
ABARTH オフィシャル写真より
続いて「アバルト500e」。ドライブモードはツーリズモ、スコーピオンストリート、スコーピオントラックの3つあるが、まずは「スコーピオントラックモード」を選択。そして「アバルト・サウンド・ジェネレーター」を設定。すると、まるでエンジン車のような野太いエグゾースト音が響き渡る。
確かに、さっき乗ったアバルト695と同じ音。そしてアクセルを踏むとスタートから出だしが速い。前の組の人がスタート時にホイールスピンをしていたが、なるほど。スピードに合わせて音の調整がなされ、人工音なのに違和感なく受けられる。
「スコーピオントラックモード」から「スコーピオンストリートモード」にするとパフォーマンスを保ちながら回生ブレーキが効き、ワンペダルで感覚のドライブができ、ブレーキを踏まずとも車をコントロールできる。
何より楽しいのはコーナーの立ち上がりからのアクセル全開。これは確かにテストコースやサーキットでしか味わえない特権。この時の加速感は、まさにアバルト695以上。このワンペダルドライブは「スコーピオンストリートモード」と「ツーリスモモード」にのみ設定される。
そのあとの公道試乗では、「ツーリスモモード」と「スコーピオンストリートモード」中心にドライブしてみたが、うっかり「アバルト・サウンド・ジェネレータ」をオンにしたまま村に入ったため、低い音が響く。慌てて車を止めてスイッチをオフにしたが、車が動きながらでも操作出来たらもっと嬉しいと思った。
日本では今秋ごろ発表予定だが、今年7月公開のトム・クリーズ主演の最新映画「ミッション・インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」に新型「アバルト500e」が登場する。「アバルト500e」が日本に上陸する前に、映画で話題になるかもしれない。ルパン三世のチンクエチェントのように。