▶︎すべての画像を見る 料理や焚き火のスキルと並び、キャンプで役立つ技術の筆頭がロープワークだ。
定番の「もやい結び」をはじめ、タープ設営に使える「ふた結び」や「8の字結び」、応用編としてロープの長さを出す結び方、小物ハンギングできる結び方、さらには使用シーン別に最適なロープの選び方までを紹介していく。
基本的なロープの使い方(ロープワーク)をいくつか覚えておくと、ロープ1本でアウトドアのさまざまな状況に対処できるようになる。
これからのキャンプシーズンに向けて、覚えておいてソンはない。
①ロープワークの大定番ギアハンガーにもなる「もやい結び」
数ある結び方の中でも、使い勝手の良さと用途の多さからキングオブノット(結びの王様)と呼ばれている「もやい結び」。
キャンプはもちろん、さまざまなシーンで活用できるため、ぜひマスターしておきたい。
例えば、タープやテントの本体に細引き(ロープ)を結ぶ場面や、タープポールにかける張り綱の輪を作るときは、まさにもやい結びの出番だ。
また、ひとつのロープに輪をいくつか作って張れば、ギアハンガーにもなるなど、アイデア次第でいろいろと応用できる。
②すぐ結べて、すぐ解ける。「巻き・てこ・ねじ」結び
続いて「もやい結び」の次に使えるシーンが多い、木や杭などの「ものに結ぶ」ためのロープワーク「巻き・てこ・ねじ」の3つをご紹介。
ペグが効きづらいときに木や杭にロープを固定したり、タープの張り方を決めるために仮止めしたりなど、さまざまな場面で活躍してくれる結び方だ。
簡単に結べるだけでなく、簡単にほどくこともできる優れもの。日常生活や災害・緊急時にも応用できるので、ぜひひとつでも身につけていただきたい。
A. 使用頻度が高くて簡単な「巻き結び」 1つ目は「巻き結び」。対象物に巻くだけでほぼ完成してしまうという、とてもシンプルで覚えやすい結び方だ。
使える場面は、キャンプからクライミングまで非常に幅広い。
B. とにかく早く結べる「てこ結び」 2つ目の結び方は「てこ結び」。軽いものを吊るすのにも便利で、木や杭にロープを結ぶだけではなく、縄バシゴを作るのにも使われる。
この結び方も「巻き結び」同様、引っ張っているときっちり止まるが、逆にテンションを緩めると簡単にほどけるのが特徴だ。
C. 強度が調整できる「ねじ結び」 3つ目は、元のロープを芯にして先端をネジのように巻きつけて結び目を作ることから名付けられた「ねじ結び」。
巻きつける回数で強度を調整することができるので、てこ結びより引っ張り強度は少し高い。こちらもテンションを緩めると簡単にほどくことが可能だ。
③タープ設営に使える「ふた結び」と「8の字結び」
タープの設営には普段よく使う蝶結びや固結びも使えなくはないが、状況によっては結び目の強度不足でほどけてしまったり、逆に結び目が締まり過ぎてほどきにくくなってしまったりすることがある。
そこで数あるロープワークの中でも、タープに便利な結び方を2種類ご紹介する。どちらも強度は十分だけれど、結びやすく、ほどきやすい。
タープ以外にもアウトドアでは役立つ場面が多い結び方なので、ぜひこの2つも覚えておきたい。
A. タープと本体の連結に使える「ふた結び」 タープ本体の四隅や真ん中には、「ループ」と呼ばれる輪っかが付いている。ここにロープ(ガイライン)を結びつけて使うのだが、おすすめの結び方は前述の「もやい結び」とこの「ふた結び」だ。
しっかりテンションがかかれば、これだけで十分な強度を得ることができる。
一方で、テンションを緩めれば、簡単にほどくことができるのもポイント。これは覚えておくと、ほんとに便利!
B. コブを作って止めたいときには「8の字結び」 「グロメット」と呼ばれるタープの丸い金具は、基本的にポールの先端を差し込むための補強パーツだ。しかし、タープにループがない場合は、ここにロープを通して使うこともできる。
その場合、ふた結びを使ってもいいのだが、コブを作って止める方法を使うとよりお手軽。そんな便利な結び方が「8の字結び」だ。
いちばん簡単な結び方「止め結び」でもコブは作れるが、適度な大きさの抜けづらいコブを作るなら、8の字結びが最適。この結び方も非常に用途が多いので、覚えておいて絶対にソンはない。
8の字結びをマスターしたら、2本のロープを重ねて8の字結びをする「二重の8の字結び」にトライしてみよう。
この二重の8の字結びは、クライミングの命綱などにも使われる結び方なので、強度の高さは折り紙付きだ。
④ロープの長さを出すための「一重つぎ」「テグス結び」
キャンプをしていると、想定外の事態が起きるもの。例えば、タープやテントをロープで固定しようとしたときに、「あと1m、長さが足りない!」なんて経験はないだろうか。
そこで、覚えておくと便利なのが「ロープを繋いで長くする結び方」。太さや材質が違うロープ同士でもしっかり結べる、便利な結び方を2つ覚えておこう。
A. シンプルだけど強度が高い「一重つぎ」 テントやタープなど強い力がかかるロープを繋ぐためには、まず「一重つぎ」と呼ばれる結び方がある。この結び方なら、太さや材質の異なるロープ同士でもしっかりと繋ぐことができるのだ。
1本のロープの太さや材質が違っても結び方は同じ。ただし、先端は短くとりすぎると結びづらく、ほどけやすいので注意しておこう。
B. ロープにも使える釣りの定番「テグス結び」 「一重つぎ」より少しだけ手間がかかるが、さらに強度を求める場面では「テグス結び」を使おう。
実はテグスとは釣り糸のこと。その名の通り、釣りで多用される結び方で、リールに巻いた糸の先端に太さや素材が異なる糸を結ぶためによく使われる。
非常に強度が高く、一般的なヒモやロープを結ぶのにも便利だ。
ご覧のように、それぞれの結び目がストッパーの役割を果たす構造になっている。そのため、ロープの太さが違っても滑りやすい材質同士でも、結び目がほどけたり切れない限りはホールドしてくれる。
⑤ロープ1本で手軽にできる小物ハンギング術3
どこに置いたか忘れて迷子になりやすいキャンプ道具。そんな問題の簡単&見映えもGoodな解決法が、「吊り下げる」ことだ。
市販のギアハンガーやデイジーチェーンを使うのも手だが、実はロープ1本あれば簡単にあれこれ吊るすことはできるし、ちょっとした玄人っぽさも演出できる。
A. 誰でもできる簡単な「プルージック」 こちらはメインロープに小さな輪っかを引っ掛けてループを作る方法「プルージック」。
ロープ同士の摩擦を利用して止まっているため、輪の中を通す回数を2回、3回と増やせば制動力を高めることも可能。
タープにテンションをかけるような強い力がかかる用途にも使えるので、小さなカラビナと輪っかをセットでいくつか用意しておくと、なにかと便利だ。
B. ロープ1本でOK。手軽さなら「よろい結び」 メインロープ自体を結んでループを作る方法は、「よろい結び」と「バタフライノット」がある。ロープ自体を結んで輪を作るため、ロープ1本あればできる方法だ。
C. 強度なら「バタフライノット」 重たいものをぶら下げたい場合は、より強度の高い「バタフライノット」の出番だ。ちなみに名前の由来は、結び目が蝶のように見えることに由来する。
プルージックは、事前に輪っかを作っておく手間はあるが、非常に簡単に結べるのがメリット。
よろい結びはバタフライノットよりも、手軽に素早く結べる一方、バタフライノットは強度が高く、強い力がかかっても結び目が変わらないのでループが縮みづらい。
ぶら下げたいものや使用状況によって使い分けられるよう、3つとも身につけておこう。
⑥キャンプ用ロープの正しい選び方
最後に、キャンプ用ロープの選び方をご紹介。
結び方がわかったところで、気になるのがロープの種類だ。いざアウトドアショップに出かけてみると、いろいろな太さのロープが計り売りされていることに気がつくはず。
一体どの太さで、どのくらいの長さを用意すれば良いのか、ロープ購入時に考慮すべき「4つの基準」がコレだ。
1:汎用性の高い太さは「2〜3mm」
2:ロープ内の「芯の数」を確認しておく
3:「耐荷重」の表記を探してみよう
4:切り分けるなら、長さは「30m」はほしい
+α:「カットした後の処理」をお忘れなく
どちらも2mm径だが上は芯が4本、下は1本。耐荷重は倍以上違う。
カット後には、忘れずにほつれ防止の末端処理を!
⑦使用する場所別「キャンプ用ロープ」の選び方
上からさ6mm、4mm、2mm、2.4mm、1mm。
キャンプシーンで平均的に最も汎用性や使用頻度が多いロープの太さや長さがわかったところで、さらに注目すべきは、用途別の選び方だ。
いくつかの主な使用シーンごとに、どれくらいの太さと長さのロープが必要なのかを把握しよう。
1:メインロープには太さ「4〜6mm」、長さ「6〜8m」
2:プルージック用の輪っかは太さ「1〜2mm」で「4〜5本」
3:張り綱は太さ「2〜4mm」、長さ「3m×4〜6本」
4:ペグ用の輪っかは太さ「1〜2mm」で「ペグの本数」
5:ギアスリングは太さ「1〜2mm」で「4〜5本」
メインと輪っかに使うロープの太さが違うのも意外と重要。
これらのロープワークは、自宅で遊びながら身につけられるアウトドアスキルだ。連休中にキャンプへ行く人だけでなく、家でゆっくりする人も、まずは手近なロープで習得してみよう。