▶︎すべての写真を見る 真冬ながら北風は弱く、太陽の心地良さを感じられた1月のある週末。茨城県の鹿島灘海浜公園には多くの人出があった。
公園に人の姿があるのはごく普通のことだが、興味深く感じたのは、太平洋という外洋に面する海浜公園ながら、多彩な属性の人が共存していたことにある。
なぜこのような公園が生まれたのか、そして今後はどう進化するのか。鉾田市建設部都市計画課の菊池信幸さんと市村航祐さんに詳しく伺った。
多様な人たちが共存する波のある海浜公園
鹿島灘海浜公園には、若い人から杖をつく高齢者まで老若男女を問わず散歩を楽しむ人がいて、芝生がきれいに整備された広場では凧あげをする親子がいた。
ビーチサイドの広場では海風の心地良さを感じながらヨガをする人がいて、園内に併設されたドッグランには愛犬家がいた。レストランのあるデッキ付近には定食や麺類を味わう人、その隣の産直市場では地産の新鮮野菜や果物を物色する人の姿があった。
そして、外洋である太平洋に面していることから波があり、その波を求めるサーファーたちがいた。
実はサーファーを除けば、このような環境の公園は日本の内海によく見られる。鹿島灘海浜公園が稀少なのは“波がある公園”であり、それでいて“サーファー以外の人にも楽しまれている”ということなのだ。
思い出したのは、南カリフォルニアにあるソルトクリークビーチパークである。
同ビーチパーク(海浜公園)は、ロサンゼルスとサンディエゴの中間に位置する海辺の街ダナポイントにある、オレンジ郡が整備する自然豊かな公園。波があり、芝生や木々の緑が眩く、白砂のビーチはおよそ1マイル(1.6km)にわたり、その向こうには真っ青な大空と大海原が広がっている。
そして天然色に溢れる環境を日常のものとして、園内でくつろぐ地元の人の姿がある。憩いの場としているのは、サーファー、ヨガをする人、放課後をビーチで過ごす子供たち、ウォーキングで汗を流す高齢者、芝生で昼寝をむさぼる人、潮風を感じに散歩へ来たデイケア施設の人たち、といった具合だ。
誰もが海の時間を楽しんでいる。その時間に心地良さを感じ、暮らしに必要なものだと感じている。カリフォルニアの決して特別ではないそのような光景を見て、“さすがビーチカルチャー先進の地だな”と感じたものだった。
鹿島灘海浜公園の大きさはソルトクリークビーチパークのそれに程近い。そして所有する県から指定管理を受けて現場を司る鉾田市の建設部都市計画課に勤める菊池信幸さんと市村航祐さんは、より地元市民の憩いの場となるべくリニューアルを行う予定であることを教えてくれた。
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