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「もう次を考えています。いちばん大事なのは続けていくことなんで」



「反省もいろいろありますが、まだ終わったばっかなんで、今はとりあえずこのイベントができてよかったっていう感じですね」。

イベントを終えた般若は開口一番そう話した。

「俺らはみんな、まずこのイベントをやり遂げようっていう気持ちで何カ月も動いてました。苦労したことやキツかったこともありますけど、それは言いたくないですね。それに、これまでの苦労なんて吹き飛ぶくらい、今日のイベントはやれてよかったと思っています」。

般若のキャリアは長い。ヒップホップイベントの企画にも何度となく携わってきただろう。しかし、「えんにち」のような子供参加型のイベントをプロデュースした経験はない。

そもそもヒップホップに限らず、ここまで大人と子供が一体となった本格的クラブイベントは前代未聞だ。

「だから俺を含めて、多分今日はみんなが見たことのないものを見たんじゃないかな」と般若は言う。



「最初は、イベントの趣旨がちゃんと伝わっているかも不安でした。僕はもともと説明することが嫌いですが、それでもちゃんと繰り返し説明してきました。そのうえで、蓋を開けたら超満員だったので、そこは理解してもらえたってことだと受け取ってます」。

繰り返しになるが、「えんにち」は結愛ちゃんの尊い命が犠牲になったことから出発したイベントだ。

「今日、いちばんここに来たかったのは、5年間しか生きられなかった結愛ちゃんですよ。僕の中では絶対にそうなんです。ここに至るまで、ひとりの命の犠牲があったということだけは忘れてはいけないんですよ」。

そのうえで般若は、「もしかしたら、今日ここにきてくれたみんなは大丈夫なのかもしれないじゃないですか」と話す。「えんにち」の来場者は、少なくとも親子で一緒に出掛けられる程度には仲がいいと考えられるからだ。

「だから、今日ここにきてない、まだ俺たちの声が届いてないリアルなところにアプローチしないといけないんです。

虐待には無限の問題があって、無限の正解がある。俺らでいきなり全部はできないから、本当に一個ずつですけどね。もう次のことも考えてます。いちばん大事なのは、続けていくことだと思ってるんで」。

次の仕掛けについて、「ライブイベントではない可能性もありますが、実現できたら面白いだろうなっていう案はあります」と明かす般若。

活動に終わりは見えない。しかし、一歩ずつでも歩を進めるたびに、着実に子供たちの周りに優しさの輪が広がっていくことは確かな事実だろう。

壁の落書きは子供たちにとって最高の遊び。

壁の落書きは子供たちにとって最高の遊び。



佐藤ゆたか=写真 ぎぎまき=取材・文

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