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2022.04.29

かぞく

「もうおねがい ゆるして」虐待死事件の目撃者、ラッパー般若が新曲に込めた願い


2018年3月2日、小さな女の子の命の灯火が消えた。

「もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします」――。

船戸結愛ちゃん、当時5歳。親に甘えたい盛りの子供が命乞いのメモを残して亡くなったショッキングな事件は「目黒区虐待死事件」として大きく報じられた。

奇しくも事件に遭遇したのがラッパーの般若である。

般若●ラッパー。1978年、世田谷区三軒茶屋出身。1995年頃から活動を開始し、今年4月27日には13枚目のアルバム『笑い死に』をリリース。俳優としてドラマや映画などへの出演も多数。昨年は新レーベル「やっちゃったエンタープライズ」を立ち上げ、今年3月には「FOR CHILDREN PROJECT」を設立した。

般若●ラッパー。1978年、世田谷区三軒茶屋出身。1995年頃から活動を開始し、今年4月27日には13枚目のアルバム『笑い死に』をリリース。俳優としてドラマや映画などへの出演も多数。昨年は新レーベル「やっちゃったエンタープライズ」を立ち上げ、今年3月には「FOR CHILDREN PROJECT」を設立した。


事件から丸4年を迎えた2022年3月2日、般若は結愛ちゃんの命日をタイトルにした新曲『2018.3.2』を配信。同時に「FOR CHILDREN PROJECT」の立ち上げを発表した。

なぜ彼は4年の沈黙の末に行動を起こしたのか。新曲に込められた願いや葛藤、事件を目撃した複雑な胸中、そして、ひとりの父としての想いに迫った。

2018年3月2日、般若が目にしたもの

痛かったね 寒かったね
お腹空いたね 違う形で会いたかったね
そこに居た事 知らなかった
普通に過ごしてたよ 2〜3ヶ月間
暗い部屋から君が見てたあの街灯
大丈夫もう怖い事なんて無いよ

2018.3.2 金曜 17:00過ぎ
急に近づくサイレンの音と共に止まった消防車
隊員は火の手なんて無えって表情さ
男が2階から「救急車」と叫び
奇妙だって思うのには充分だ
救急隊員取り囲む1ヶ所
その数分後 悪夢だって事を知ったよ
土色の顔 案山子(カカシ)みてえな足
タンカ乗せられた女の子 運ばれてくその先

般若『2018.3.2』より
2021年夏、般若は『2018.3.2』を書き下ろした。

事件当時、事件現場から道一本を隔てたマンションに住んでいた彼は、心肺停止状態の結愛ちゃんが運ばれていく様子を目と鼻の先で目撃した。



「たまたま僕はその現場を見てしまったので、『2018.3.2』は自分の強い気持ちが前面に出た曲になっています。これを世に出すかどうかはすごく迷ったし、歌詞を書くかどうかという葛藤もありました」。

日々ニュースで見聞きする凄惨な事件や事故も、テレビやネットなどのフィルターを通すことで受け手の衝撃は緩和される。しかし、ここまで至近距離で事件を目の当たりにした場合はどうか。

「この事件で、人生を変えられたと僕は思っています。数メートル先で、あんな狂気じみたことが行われていて、僕たちはそれに気付けなかった。めちゃめちゃ喰らいました。キツかったです」。


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