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現在は手漕ぎボートで大西洋を横断中!

大西洋横断のために購入した手漕ぎボート。岩崎さんのスポンサー企業「レアゾン・ホールディングス」が掲げるフィロソフィーは「BREAK YOUR LIMITS(限界を超えろ)」。

大西洋横断のために購入した手漕ぎボート。岩崎さんのスポンサー企業「レアゾン・ホールディングス」が掲げるフィロソフィーは「BREAK YOUR LIMITS(限界を超えろ)」。


さて、残すところは大西洋横断とアメリカ大陸の横断だが、まさに今、岩崎さんは手漕ぎボートによる大西洋横断に挑戦している。船はどうやって調達したのだろうか。

「『ブリテンズ・ゴット・タレント』に出たのは賞金を得るためでしたが、ゴールデンブザーに賞金はないんです。その代わり、日本のメディアに注目されたことがきっかけで、僕を応援したいというスポンサー企業が名乗りをあげてくれました」。

その資金で船を購入し、願いが現実のものとなった。

成功すればこれも日本人初の快挙となる。だが、手漕ぎボートによる大西洋横断は、過去に約200人がチャレンジし、数名が命を落とした危険な挑戦でもある。



「1カ月をかけて練習し、船の操作や機器の扱いを学びました。想定されるいちばんの危険は嵐ですが、この船は激しい風や波にも耐えられる構造になっています。嵐の少ない冬の時季に出発するのも、危険を少しでも回避するのが狙いです」。

これまでも無謀な方法は避け、慎重を期す旅を続けてきた岩崎さんだが、“万が一”を覚悟していないわけではない。

「命の危険はあります。でも、満足の行く人生を送ってきたので長生きとか延命とか、そういう考えはあまりないんです」。
 
出航の前日に我々の取材に応じてくれた岩崎さん。

出航の前日に我々の取材に応じてくれた岩崎さん。


まだまだ岩崎さんの旅に終わりを迎える気配はないが、いつか日本に帰国する予定はあるのだろうか。

「順調に行けば4〜5年後、世界一周が終わったらですかね。あとは両親も高齢になってきているので、必要になったら戻りたいと思っています」。

テクノロジーの飛躍的な進歩によって、日本に住む両親ともマメに連絡が取れるようになったし、言葉の壁にも困らなくなった。

「昔は辞書を持ち歩いていましたが、今はすっかりグーグル先生にお世話になってますよ(笑)。日本の様子もインターネットで確認できるので、帰国しても浦島太郎のようにはならないかな」。

20年以上も日本から離れている割に、岩崎さんの日本語には何の不自然さも感じない。

「それは1カ所に住んでないからでしょうね。国を転々としているので言葉の影響を受けないんですよ。あなたの故郷はどこ? って聞かれたら、僕はいつも『地球です』って答えてます(笑)。ガンダム世代なので、『お〜これが地球か〜!』っていう感覚でいつも生きていたいと思ってますね」。


人力だけで47都道府県を横断し、四半世紀をかけて世界を一周する。そんな偉業を成し遂げようとしているのに、本人はいたってフレンドリーで飄々としている。

ちなみに今年1月14日にポルトガルの港を出航した岩崎さんだが、船酔いや筋肉痛に苦しみ、船の電圧が上がらないという致命的なトラブルに見舞われるなど、順風満帆な門出とはならなかったようだ。

今後、無事に航海が始まれば、70〜90日でカリブ海の島アンティグア・バーブーダに到着する予定。新天地で歩む道のりを、我々も楽しみにして待とう。

岩崎圭一=写真提供 ぎぎまき=取材・文

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