イギリスの音楽プロデューサー、サイモン・コーウェルの発案で2005年にスタートし「ゴットタレント」。アメリカはじめ各国でオリジナル版が展開し、現在では世界70カ国以上で放映されている。
▶︎すべての写真を見る ついに日本でも放送が始まったオーディション番組「ゴット・タレント」。
番組についてはこちらで紹介したばかり。
そして本家の「ブリテンズ・ゴット・タレント」で日本人初となるゴールデンブザーを獲得したのが今回の主人公、岩崎圭一さんだ。
岩崎圭一(いわさき・けいいち)●1972生まれ、群馬県前橋市出身。28歳で日本を飛び出してから21年間帰国せず、世界を放浪中。大道芸で生計を立て、移動は人力のみ。訪れた国は60を超える。2022年5月に挑戦した「ブリテンズ・ゴット・タレント」でゴールデンブザーを獲得し、現在、大西洋を手漕ぎボートで横断中。経過はツイッターをチェック。
審査員や観客の前で披露したのは指輪を使ったマジックだったが、岩崎さんの本業はあくまで旅人。29歳で日本を出てから一度も帰国せず今に至り、50歳となった現在は手漕ぎボートで大西洋のどこかを横断中。
一体どんな人生を過ごしてきたのか。出航直前、ポルトガルにいた岩崎さんを直撃した。
電波少年の猿岩石を見て選んだ「ヒッチハイク」
インドのコモリン岬、通称カニャクマリにて。自身のブログでもこれまでの旅のレポートが時系列で綴られている。
50歳になっても旅を続ける岩崎さん。聞きたいことは山ほどあるが、まずは旅に出た原点から振り返ってもらった。
「21歳のとき、オーストラリアに住んでいた高校の同級生を訪ねたんです。それが僕の初海外でした。入国審査で話が通じないんですよ。相手の言っていることがまったく分からない。学校で教わった英語も全然通じなくてショックでしたね。
それに、日本と街の造りも全然違うし、車が走る方向も違う。何もかもがこんなに違うのかって、群馬で生まれ育った僕には衝撃でした。これは面白いぞ! って、いつか世界を回ろうと決めたんです」。
とはいえ、すぐに海外に行くことはできず、父親が経営する前橋市の会社で働いていたという岩崎さん。ようやく家を出たときには28歳になっていた。
「すぐ海外に行きたかったんですけど、なかなか実現できなくて。まずは経験を積もうと、国内47都道府県をヒッチハイクで回ることにしたんです。『進め!電波少年』で猿岩石さんがユーラシア大陸をヒッチハイクで横断しているのを見て、このスタイルなら僕もできるかもって」。
旅のスタートは沖縄から。3カ月をかけて北上し、最終地点の北海道まで47都道府県をヒッチハイクで制覇した。
途中、京都で知り合った人から韓国行きのフェリーチケットを譲り受けたのを機に、世界を巡る岩崎さんの旅が本格的にスタート。2002年3月、所持金3万円で韓国・釜山に向かった。
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