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デニム愛を表現したブランドの原点

これまでデザイナーとして数多のジーンズを作ってきた大貫さんだが、自分の理想の一本を作るための第一歩としてスタートさせたのがウエストオーバーオールズだ。

その記念すべきファーストモデルであり、定番として根付いているモデルがこちらの「801S」。青みの強いカラーが特徴的だ。



「僕はフランスのスタイルも好きだし、エスプリ感も好き。例えば、’70年代にジェーン・バーキンやセルジュ・ゲンズブールがはいていたデニムのような雰囲気ですよね。彼らがはいていたデニムのフレンチブルーこそが、僕の中ではベーシックなデニムのブルーなんです」。



「ウエストオーバーオールズではヴィンテージの良さを表現したいし、いつまでも長くはき続けたい。だからこそ、風合いの良さと強度を担保するという観点で、綿糸とポリエステル糸をミックスしたハイブリッドな糸を使っています」。





ヴィンテージ好きが見ても納得するよう、ファスナーも古き佳き時代のデザインを踏襲。見えない部分にまでこだわりながら、パッチなどを排除し、極力シンプルな作りとしている。

ウエストオーバーオールズのデニムは一見、特徴がないように見える。しかし、実は大貫さんが製作したデニムだということが一発で分かる意匠がある。





「象徴的なのはこのウエストバンド。はく人にうれしいフィッティングを促すだけでなく、移染も回避します。最大限に引き算しながら、見えないところで付加価値をプラスしました。自分が現在考えうる、もっともベーシックな5ポケットのデニムだと思っています」。

「最高のスタンダードデニム」とは何か

ウエストオーバーオールズは今年、7年目を迎える。これまであらゆるアプローチでデニムを製作してきたが、ついに自身が考えうる最高の一本を作り上げたという。それがこの「サンタセッジーンズ」だ。



「トップボタンにリアルなアメリカの銀貨を採用していたり、1800年代後半から1940年代にアメリカで使われていた黒いミシンで縫製したり……。とにかく、自分が考えうる“最高”を目指して作りました。裾のステッチも含めると、これ一本作るのに15台のミシンを要しています」。

よく見ていくと、古着の特徴のひとつでもあるレングスのねじれもしっかり表現されている。







「自分にとって、デニムのゴールデンエイジは1950年代。その当時のレシピを研究し、忠実に再現しました。ただのレプリカジーンズではないんです。

しかも、カウレザーや紙が一般的なパッチも、リザードの革を使いスペシャリティを煽っています。金額は約8万円(税抜)。30本限定で製作したのですが、即完売しました」。

仕様、手法、金額、すべてが別格。そこには大貫さんの深い想いが込められている。



「やっぱり自分がいちばん好きなものを、いちばん本気で、いちばんのクオリティで作りたいんですね。完成までに3年半もの年月をかけましたが、やっと嘘偽りなく、本質的に最高だと思えるデニムが完成しました。だから僕は『これが日本一です』『世界一のデニムです』と自信満々に言っています」。

デニムの申し子が自信を持って誇る世界一のデニム、オーシャンズ世代なら避けて通る道理はなさそうだ。

鈴木寿教=写真 菊地 亮=取材・文

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