「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは……▶︎すべての写真を見る 今の家に引っ越したときに、テレビをなくしてプロジェクターだけにしたのですが、同時にCDプレーヤーなどのオーディオ機器もすべて処分したんです。
音楽を聴くのは好きですが、オーディオにはそれほどこだわりはないし、コードがたくさんあるのもうっとうしい。バング&オルフセンのお気に入りのスピーカーだけを残して、あとはすべてBluetoothでいいやと思っていたところ、義父からアナログレコードを譲り受けることになりました。
見ると初期のビートルズなど名盤がたくさんあり、これは聴く方法を考えなくてと思い立ちました。
それでたまたま見つけたのが、ティアックのアナログターンテーブルです。ウォルナットの天然木目にさりげないロゴの入り方もいい感じで、マットなシルバーも上品です。それに6万円台という価格も良心的。
何より驚いたのが、これがBluetoothトランスミッターを搭載しているということ。アナログターンテーブルなのに、Bluetooth!?
ティアックのアナログターンテーブル 「TN-400BT-SE」。ワイヤレススピーカーやヘッドホンに送信してレコードが聴けるQualcomm®aptX™audio、AACおよびSBC方式に対応のBluetooth®️トランスミッター搭載。回転数は33-1/3、45、78rpmの3スピード対応ベルトドライブ式。H117×W420×D356mm(ダストカバー装着時) 6万5780円/ティアック 042-356-9235
僕の周りには音にうるさい人が多く、オーディオ機器について少しでも質問すると話が終わらなくなってしまうため、今まであえて触れないようにしてきたのですが、これについてはぜひ意見を聞かなければ。
すると誰もが、本格的な音響メーカーがBluetooth搭載のターンテーブルを作ったということに、「そんなのあるの!?」と驚いていました。
ノイズにこだわるDJには「ありえない」と否定されましたが、ひと通りの機械を使いこなし、もう古い機器には戻らないというスタンスのDJには「手軽だし、マニアックに音にこだわらないのであればいいと思います!」と背中を押されたのでした。
興味深かったのは、娘たちがレコードを聴きたいと言い出したこと。高校生の長女は、最近コンタックスのカメラを買って、フィルムで写真を撮っているのですが、彼女たちはCDジャケットすら馴染みのない世代(トレカ欲しさに何枚も同じCDを買うのはまた別の話)。
時代を超えて、今改めてアナログな音や画像が新鮮に思えるようです。
Bluetoothの扱いに慣れた若い世代が、祖父の時代のレコードをヘッドホンで楽しんで聴いているなんて、なんだか微笑ましい光景ですよね。
[藤井隆行 プロフィール]東京を代表するブランド「ノンネイティブ」のデザイナーで、ファッションからライフスタイルまで一貫したこだわりを持つ。「12月中旬に結構ビックリなコラボレーションが発売。1年かけてやってきたプロジェクトなので、ぜひお楽しみに」。
「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは…… 世の中のありとあらゆるプロダクツから、「ノンネイティブ」藤井隆行さんが独自のセンスと審美眼でモノをセレクト。デザインとは? 実用性とは? 買い物の醍醐味とは? ブランド名や巷の情報に惑わされず、本当に自分に必要なモノと出会う方法を指南。
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