「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは……▶︎すべての画像を見る 以前使っていた電気ケトルは温度調節ができず、ちょうど壊れたこともあって新しく買い替えることに。いろいろ比べてみて、ようやくたどりついたのがこの山善のケトルでした。
まず電源プレートのシンプルなデザインに好感を持ちました。操作部分はスイッチを入れると数字が浮かび上がるデジタル表示で、液晶ではなくLED。
温度は60〜100℃の間、1℃単位の設定が可能。うちの妻は中国茶をたしなむのですが、中国茶はとても繊細で、お茶の種類によってお湯の適温が変わるので、この機能は助かります。
温度ももちろん大切ですが、このケトルのマットな質感は、中国茶を淹れるときに使う急須や茶器、茶盤(道具を載せる木のお盆)と一緒に並べても違和感がないというところも気に入りました。
800ml H28.5×W19×H24cm 7280円/山善 0570-077-078
山善の電気ケトル「YKG-C800」安定感あるグリップと細口のノズルで、注ぐお湯の量をコントロールしやすい。60〜100℃の間の1℃単位で温度調節ができて、好みの温度で60分間保温可能。空焚き防止機能付き。ホワイトのほか、ブラックとカッパーがあり。
細い注ぎ口や持ちやすいハンドルなど、実用性が高いのに価格が安いのもいい。これは相当研究されているなと感じました。
という僕は、もっぱら餃子作りに活用中。餃子を包むのはあまり得意ではありませんが、焼くのはかなり自信があって、最後に熱湯をじゅーっと回しかけると、それはそれはきれいな餃子が出来上がります。
ほかにも湯たんぽにお湯を入れたり、赤ちゃんがいる家庭はミルクと混ぜるお湯の温度調節をしたりと、電気ケトルってとても用途の多い便利なツールだと思います。
にもかかわらず、これはどんなシーンでも邪魔にならない存在感。ロゴも入っていないし、かといって実用性だけを追求した面白みに欠けるデザインでもない。
ブランドを強調せず、控えめながら実力を感じさせるところが山善の魅力かもしれません。車とか造ってくれたらいいのに。
昔は家電といえば大手メーカーや海外ブランドでしたが、いろいろ行きついたら日本のブランドが安くていいモノを作っていた。まさに灯台下暗しです。
車をはじめ、さまざまなプロダクツのデザインは今シンプルに向かっていて、派手ではないけれど実力と美学を備えたモノが溢れています。ブ
ランドではなく、こつこつとまじめに作られたいいモノに、皆が目を向け始めているのではないでしょうか。
[藤井隆行 プロフィール]東京を代表するブランド「ノンネイティブ」のデザイナーで、ファッションからライフスタイルまで一貫したこだわりを持つ。「EVカーに乗り換えて約3カ月。ようやく慣れてきましたが、問題は長距離。YouTubeで研究してますが、一度関西までチャレンジしようと思います」。
「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは…… 世の中のありとあらゆるプロダクツから、「ノンネイティブ」藤井隆行さんが独自のセンスと審美眼でモノをセレクト。デザインとは? 実用性とは? 買い物の醍醐味とは? ブランド名や巷の情報に惑わされず、本当に自分に必要なモノと出会う方法を指南。
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