店内の写真を見ればわかると思うが、基本的に洋服はスタイリングが組まれた状態でハンギングされ、なかには“特集”(自由な発想で行うイベントをこう呼ぶ)という名の下、制約なしの自由な発想で洋服を展示するコーナーも。
取材時は「NOT FOR SALE」というテーマで、小沢さんの私物(非売品)と買いつけた商品をミックスするという、他店では絶対に真似できないスタイルが提案されていた。
今回の特集では、商品と小沢さんの私物をミックスしてコーディネイトを提案。
セレクトされたアイテムもエッジの利いたモノが多く、ジルサンダー+とマッキントッシュのコラボレーションアイテムやキジマタカユキの商品化されなかったサンプルなど、「え、こんなアイテムまで」と思うような商品ばかり。
経年在庫を扱う店という言葉の響きから受ける印象とは正反対だ。
下げ札には小沢さんの手書きキャプションが記される。
さらにレコードショップのPOPのように、洋服のタグには“下げ札”(小沢さんの手書きテキストメモ)が付く。それも何ページにもわたって。
洋服に対する熱い想い、なぜセレクトしたのか、どう着こなせば格好いいのか。きわめてパーソナルな視点で書かれた、いい意味で偏った内容を、ユーモアを交えつつ綴っている。洋服の背景にある物語についつい没頭してしまう。きわめて雑誌的なアプローチだと感じた。
残反を再生させたオリジナルショッパー。利益を乗せず、原価で販売する。大小2サイズ展開。各2200円/エディストリアル ストア 0268-75-8373
「普通のバイヤーはマーケティング重視で買いつけをしますが、ここではその反対。僕は常々“逆張り”できるのがスタイリストだと思っている。昨日まで格好いいぞと言っていたものを、今日はもうダサくて着られないと切り捨てるくらいの感性がないと成立しない。
そんな浮ついた目線で買いつけたアイテムだから(笑)、洋服好きの琴線に触れる掘り出しモノばかりだと思います」。
テーブルの上に展示されたスタイリング提案。まるで雑誌の物撮りコーディネイトのよう。
雑誌の3D化と表現したが、これだけエッジの利いた編集力を感じる媒体がどれだけあるだろう。ファッションのワクワク感、買い物の楽しさを存分に味わえるショップは、ワイズチョイスの本命に相応しい。