「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは……▶︎すべての画像を見る いわゆる長靴というものを買ったのは小学生以来かも。でも確かに長靴ではあるのですが、あえて「ラバーシューズ」と呼びたくなるファッションアイテム、それがボッテガ・ヴェネタのアンクルブーツ「パドル」です。
2020年秋に発売して人気になり、カラーバリエーションも増えています。僕は黒を持っているのですが、ワードローブの仲間入りを果たし、雨の日も雨じゃない日も履いています。
何というかいろいろと絶妙なんですよね。とにかく軽いし、インソールはクッションが利いていて歩きやすく、履き口は広すぎず狭すぎず着脱がラク、厚底なのでスタイリングのバランスも取りやすい。
曲線のきれいな丸みのあるフォルムが秀逸で、横から見たバランスも完璧です。サイドにはサイドゴアのような、アウトソールにはイントレチャートのようなエンボス加工が施されていて、ユーモアも感じさせます。
素材は生分解性ポリマーを使っているので、いつか土に還るサステナブルな靴というのも驚きですね。余計な装飾やデザインは省きつつ、細部までとてもよく考えられている靴なのです。
生分解性ポリマーを使ったブーツ。ライニングはコットン。色は写真のジュートのほか、グラスやキウイといったグリーン系や、エッグヨークやタンジェリンといったイエロー系など全14色。8万2500円/ボッテガ・ヴェネタ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン 0120-60-1966)
僕はいつもどおりノンネイティブやグラミチのパンツを合わせたり、黒いスエットパンツをインして履いたり。ケミカルな素材のパンツとも相性がいいし、トレッキングブーツのような感覚で超アウトドアなスタイルに仕上げても面白い。
妻はオフホワイトの「パドル」を購入しましたが、白だとスニーカーっぽい印象にもなって、また違ったスタイリングが楽しめそうです。
そういえば娘の大好きなアーティストがMVでこれを履いていたらしく、妻の靴を無断で履いて叱られていましたっけ。
ボッテガ・ヴェネタは、昔から使っているネックストラップや、一時期は財布も愛用していました。デザイナーが代わっても世界観はずっと変わらず、でもこうした革新的なデザインを生み出しているところはすごいですね。
定番化したこのラバーブーツは、もう14色もあるのだとか。新色のジュートはまさに麻のようなナチュラルな色。これは僕のワードローブにぴったりです。
もう1足買おうかな。きっと買うんだろうな。
[藤井隆行 プロフィール]東京を代表するブランド「ノンネイティブ」のデザイナーで、ファッションからライフスタイルまで一貫したこだわりを持つ。「9月末はロンドン〜パリへ3年ぶりの海外出張。何だか初めて行くような感覚で今からドキドキしています(笑)」。
「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは…… 世の中のありとあらゆるプロダクツから、「ノンネイティブ」藤井隆行さんが独自のセンスと審美眼でモノをセレクト。デザインとは? 実用性とは? 買い物の醍醐味とは? ブランド名や巷の情報に惑わされず、本当に自分に必要なモノと出会う方法を指南。
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