最新のレンジローバー。世界中の富裕層がこぞって買い求めており販売は絶好調のようだ(筆者撮影)
当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちら。 中軽井沢から鬼押出しへ抜ける上り坂。筆者は地上2mの高さをドローンに乗って滑空している……ような気分になった。
実際に操っていたのは最新型のランドローバー・レンジローバー。「オートバイオグラフィー D300」というディーゼルエンジン搭載モデルだ。
ディーゼル車がガソリン車並みにパワフルであることはもはや珍しいことではなくなったが、300ps/650Nmという額面の数字から想像するよりずっと逞しく加速するだけでなく、誰かから「これはV8ガソリンのトップモデルです」と吹き込まれたら信じて疑わないほど、静かでスムーズだ。
アクセルペダルをコントロールする右足にさらに力を込めると、姿勢の変化をほとんど感じさせないまま、コーナー内側の後輪が軽くヒュルルと空転すると同時に、トラクション・コントロール・システム作動の表示がメーターパネル上で点滅する。
太いアルミ製ロワーアームに支えられるタイヤからステアリングホイールまで、精密さの連鎖を感じることができる。ドローンのような浮遊感は、新たに電動式となったロール制御機構「ダイナミックレスポンスプロ」により、速いコーナーで車体のロールをほとんど意識させないせいだろう。
ランドローバーのトップモデル
およそ9年半ぶりに全面刷新されたレンジローバーは、イギリス・ランドローバー社のトップモデルである。同様にレンジローバーという名を持つ「イヴォーク」「ヴェラール」「スポーツ」の3車種と異なり、単に「レンジローバー」とだけ呼ばれる。
1970年の登場以来、悪路踏破性能を追求しながら、快適性や高級感にも磨きをかけてきたレンジローバーは、イギリス王室御用達の最高級4WDとして知られるようになった。頑丈で贅沢に作るほど、クルマの重量は増し運動性能は失われていくものだが、電子制御エアサスペンションやオールアルミ・ボディーといった先進技術をいち早く採用するなど、「究極の多目的乗用車」であり続けてきた。
2/3