前回、メーカーや企業が作った
世界に一台の車の紹介をしたが、世の中には、カタログの載ってる車じゃ面白くないし、オプションでは満足できない…… じゃあカロッツェリアに理想の一台に仕上げてもらおう、という世界が存在する。
そもそも自動車の黎明期には、自動車メーカーはエンジンや車体を提供するのみで、ボディは個別にカロッツェリアに発注する、という時代が存在した。
今もカロッツェリアは健在だが、表立って顧客からのオーダーを募っていないので、一般にはあまり知られていない。
今回は、そんなカロッツェリアの仕事の一例をご紹介しよう。
■レンジローバーの2ドアクーペを
いつの時代も富裕層に愛されてきたレンジローバー。
1970年にデビューした初代は2ドアモデルで、4ドアモデルが追加されたのは1981年のことだった。やがて2代目、3代目と代を重ねていくが、2ドアモデルは初代にしか存在しない。
そんな初代を懐かしんだオーナーあたりが、現行モデルで2ドアモデルが欲しいと発注したのだろう。イギリスの自動車デザイナー、ニールズ・ファン・ゴーイは現行型レンジローバーを2ドアの「アドベンタム・クーペ」に仕立てた。
ボンネットやフロントフェンダー、リアゲートのみがベース車からの流用で、残すボディパネルはすべて職人のアルミ叩き出しで製作されている。
もちろん、内装もオーナーの好みに仕上げられており、フロアマットの替わりに世界三大銘木のひとつと言われるチーク材が床に敷き詰められている。
そのほか、カスタマイズの範囲はオーナーの想像力次第。参考までに「アドベンタム・クーペ」の基本価格は27万ユーロ(約3000万円)となっている。
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