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「瀧本さんの写真は、圧倒されて言葉も出ませんでした」(斎藤)

編集部 まずは、お二人の出会いから聞かせてください。

斎藤佑樹(以下、斎藤) 会社を設立する際スタッフと、ホームページを作るにあたって僕の写真をどこかに入れたいと話をしていました。そこで、お声がけさせていただいたのが瀧本さんでした。

瀧本幹也(以下、瀧本) 斎藤さんに関してはもちろんよく存じ上げていました。一番の印象はやっぱりハンカチ王子(笑)。すごく苦労された選手という印象がありますね。ただアスリートは、引退後のセカンドキャリアの時間の方が長い。だから何か僕に出来ることがあったら応援したいなと思い、撮らせていただきました。

編集部 それぞれ、お会いしたときの印象はいかがでしたか?



斎藤 失礼を言うようで大変恐縮なんですけど、瀧本さんほどのカメラマンさんはどちらかというと無愛想な方が多いイメージがあって(笑)。瀧本さんもそうなのかなと思っていたんです。

でもすごく柔らかくて、優しくて、落ち着いた声をしてらして。人の印象は最初の5分で決まるといいますけど、最初の数分で素敵な方だなと感じました。

瀧本 僕も同じで、野球選手ってすごく怖い人が多いというか、ギラギラしてごついイメージがありました(笑)。でもそういう感じはまったくなくて、僕の周りにもいそうな親近感のある物腰の柔らかい方。

最初の打ち合わせは、確かオンラインだったと思いますが、とても親近感が沸きました。撮影はうちの事務所でしたよね?

斎藤 そうですね。内容をひと通りお伝えし、瀧本さんが抱く写真のイメージを教えていただきました。



瀧本 新しくスタートを切るタイミングでしたから、単なるポートレートではなく、次の人生を始めるぞという前向きで爽やかな気持ちが伝わる写真を撮りたい、できれば自然光で撮りたいというお話はしました。それと、ハンカチも撮りたいと。甲子園のときはハンドタオルだったそうですね?
 
斎藤 そうですね(笑)。

瀧本さんが撮影した、斎藤さんのポートレート写真。

瀧本さんが撮影した、斎藤さんのポートレート写真。


瀧本 でも、今はステージも変わられたので大人のハンカチーフにしようと提案し、それをポートレートと同じ光で撮影しました。

編集部 ご覧になったときはいかがでしたか?



斎藤 圧倒されましたね。僕もこれまで写真をたくさん撮られてきましたけど、全然違いました。世界がガラッと変わったというか、もう言葉が出なかったんですね。

瀧本さんが撮影したハンカチの写真。

瀧本さんが撮影したハンカチの写真。


編集部 斎藤さんは現役を引退して、撮られる側から撮る側に回られました。そのような活動をされていると知ったとき、瀧本さんはどのように受け止められましたか?



瀧本 すごくストレートな人だと思うので、自分の気持ちに素直に動かれているんだろうなと感じました。写真一枚に、これまで歩んで見てきたその人だけの景色や社会と触れる接点のような、言葉では言い表しづらい曖昧なものを写し込むことができます。

写真は、違う目を持つみたいなところがあって、普通に散歩しているだけでもカメラを持つのと持たないで散歩するのとでは見える景色が違うんですよ。斎藤さんもそういったところに惹かれたのかなと。ほかの野球選手で、引退してからカメラマンになった人なんて僕は知りません(笑)。

斎藤 元メジャーリーガーで、殿堂入りした名投手のランディ・ジョンソンは今、カメラマンとして動いているそうですよ。

瀧本 そうなんですか!?

斎藤 でも確かに多くはないですね(笑)。


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