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斎藤佑樹が伝える、夢を実現させるために必要なこと

斎藤さんは、少年野球の会場へ足を運んだ際にも、子供たちに夢の話をするという。そして、叶えるために何をすべきかを彼なりの言葉で伝える。



「子供たちからは、『小さい頃、どんな夢を持っていましたか?』という質問をよくされます。夢の話をするときには、やりたくないこともやらなければいけないと話しますね。

勉強もそう。僕の通っていた早稲田実業は、野球を三年間続けるために、勉強でもしっかり成績を残さなければいけません。そうしないと進学ができないんです。成績が悪いと、留年の可能性だってあります。
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勉強が好きな子はそれほど多くないと思います。ただ、好きなことをするために、“頑張れる許容範囲”を増やしておくことは大事。僕自身の体験からは、そう伝えるようにしています」。

おそらくオーシャンズ世代にとっても胸に刺さる言葉だろう。

斎藤さんはCMで、憧れの選手・松坂大輔さんと共演を果たした。そのときも、同様の話になったという。

「以前、大輔さんとキリンビールのCMで共演させていただいたときは、緊張しましたね! そのとき、大輔さんは練習も走るのも好きじゃなかったとおっしゃっていました。でもボールを投げるのは好きだったと。

僕も投げるのはすごく好きですけど、嫌いだな、嫌だなと思っていた練習もたくさんある。でも必要なことですし、やらなければ前に進めないのです」。



斎藤さんは、今も欠かさずトレーニングを行っている。彼のインスタグラムを見ると、その本気度たるや現役さながらである。

「現役時代と比べると、疲れ方が変わりましたね。以前は体を目一杯使っていましたけど、今は頭をすごく使う。この疲れをどうにか体のほうに分散したいとは思っています」。

引退後、運動をしない時期もあったが、自分にとっては良くないと痛感したという。

「どこかで体のスイッチを入れる状況を作らないと、闘争心みたいなものが湧いてこないんですよ。それに、洋服も格好良く着たいじゃないですか(笑)」。
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斎藤佑樹が感じている「夢」と「目標」の違い

斎藤さんの話の中で出てくる「夢」と「目標」という言葉。このふたつの違いを、彼はこう語る。



夢は、漠然としていて、叶えられるか叶えられないか分からないもの。目標は頑張れば手が届くものという認識があります。

以前、大輔さんがインタビューで『目標と夢は違う。夢は叶えられないかもしれないが目標は叶えられる』と答えていました。本当にその通りだと思います」。
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どんな問いにも真摯に向き合い、丁寧に答える姿。こうした真っ直ぐな姿勢こそ、斎藤さんが多くの人から愛され続ける所以だろう。では今、彼はどんな夢、そして目標を抱いているのだろうか?



夢でも目標でもありますが、野球場を作ること。何もない土地にダイヤモンドの線を引いたら、もうそこは野球場になりますよね。それだったら、誰でもすぐにできます。

でも、僕が作りたい野球場は、少年野球の全国大会が開催できる聖地と呼ばれるような場所。子供たちがそこを目指して一所懸命に野球と向き合えるような場所を作りたいと思っています」。

古巣である北海道日本ハムファイターズの新球場建設の過程を間近に見ることができた経験も、夢を膨らませるきっかけとなったようだ。



「ファイターズの新球場は理想的だと思います。確実に世界一の野球場といえますね。グラウンドと観客席の距離が近いですし、選手目線で野球を楽しめる。関係者の話を聞いて僕自身、すごく勉強になりました。

まだ妄想ですけど、野球場に美術館が併設されてもいいなと思っています。野球の応援ですごく盛り上がったあとに、美術館に行き、心を落ち着かせて帰宅する。ふたつ同時に楽しめたら、素敵な1日になると思うんですよね」。



北海道日本ハムファイターズは、来たる9月24日からのホームゲーム5連戦を「FINAL GAMES 2022」と題し、さまざまな催し物を用意。その一環として斎藤さんの写真展を開催している。

彼の野球への思いが込められた写真を、ぜひその目に焼き付けてほしい。


次回は、斎藤さんが次なる夢へと向かう手段として選んだ写真についてインタビュー。ボールを置き、カメラを手に取るまでの経緯から、写真家としての目標を抱くまでを赤裸々に語っていただく。

佐藤ゆたか=写真 菊地 亮=取材・文

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