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「37.5歳の人生スナップ」を読む
前編の続き
人気プロレスラーだった垣原賢人が、34歳で引退後に選んだ職業は、なんとクワガタだった。幼い頃から、クワガタに魅了されてきた垣原は、プロレスと同じくらい熱中できる職業として、自らがクワガタの化身となり、その魅力を世の中に伝えていくことを決断した。
第二の青春が到来
垣原は現在、「昆虫ヒーロー・ミヤマ☆仮面」として、 昆虫バトルの 「クワレス」や「昆虫体操」、「むしクイズ」といったコンテンツを通して、虫の魅力や自然の大切さを伝えるイベントを全国で行なっている。特にゴールデンウィークや夏休みなどの大型連休のときは、キャンピングカー「ミヤマ☆仮面号」で全国各地をまわってイベントに出演し、多忙な毎日を送る。この活動を通じて、垣原には2つの強い想いが芽生えた。
1つ目は、「クワレス」を世界中に広めたいという想いだ。「クワレス」とはクワガタがレスリングを行う、リアルな昆虫の格闘コンテンツだ。
映像を見るとわかるかもしれないが、「クワレス」を見ているとまるでプロレスを見ているかのような錯覚に陥ってしまう。垣原はプロレスの世界で養ったエンタテインメント性を「クワレス」に投影しているのだ。その背景には、「クワレス」を通じて日本中の子供を虫好きにし、自然との共生を考えるきっかけを提供したいという使命感がある。そのために工夫を凝らしながら垣原は、日々「クワレス」を進化させ続けている。
2つ目は、家族との絆だ。垣原はこのイベントを家族全員で運営している。家族イベントのMCを、アイドルである娘・垣原綾乃さん(23歳)が務め、息子の垣原つくしさん(17歳)とともに、マスクを被った昆虫ヒーローを演じる。音響などの裏方は主に妻・美香子さんの役割だ。
そして移動&宿泊手段の「ミヤマ☆仮面号」で過ごす日々は、垣原一家のライフスタイルの一部となっている。このように家族全員で1つのイベントを作り上げるという運営方針は、実は垣原の幼少期の家庭環境によるところが大きい。
「ぼくは幼い頃に親が離婚しているんですよ。恥ずかしい話ですけど、父親はなかなか家に帰ってこないうえ、たまに家にいるときはお酒を飲んで暴れてばかりでした。そんな光景を見て育ったので、あたたかい家庭に憧れていたのかもしれません。一緒に仕事をし、一緒にいる時間が長い分、家族の口論も増えましたが家族の絆は深まっています」。
垣原にとって、昆虫イベントで結ばれた家族の絆は、何にも代えがたい大きな財産となっている。
なお、クワガタ愛に溢れた動画コンテンツ「
クワレスちゃんねる」では昆虫イベントの様子も公開されているので、ぜひご覧になっていただきたい。
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