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考え抜かれたパタゴニアの機能美と普遍性

今でも古着店に行ってはパタゴニアを物色しているという。これもまさに戦利品のひとつである。



「このスカノラックを手にしたのは10年くらい前。まず目に入って、これなんだっけな〜って。よくよく調べたら、結構珍しいモデルだったので購入しました」。

当時は1万円ほどで購入したシロモノだが、調べてみると、相場が6万円ほどまで高騰しているという。



「買っておいて良かったと思いました(笑)。スカノラックはもともとシーカヤック用アノラック。おそらく、動きやすいように丈はわりと短めですし、それ専用と思われるディテールも各所に見られます。

当時は少し専門性の強いアイテムだったでしょうから、数十年後にファッションとして着られるとは思わなかったんじゃないですかね。街で着るには多少違和感は出ると思いますけど、それがまたいいギャップを生んでくれます」。

さらに、古着ならではの風情にも魅力を感じているようだ。



「僕はシーカヤックはしませんけど、このポケットの具合だとかは釣りにも便利そう。かつてはよくブラックバスを釣ったりもしていたので、かなり使えると感じていました。

パタゴニアはどこかいなたい感じが好きなんですよ。このマチを広めにとったたっぷりめなポケットだったり、フードの形や高さも絶妙でしかもツバ付き。デザインに無駄がないですよね。やはり機能美がパタゴニアの本領なんだと思います。デザインや配色にも“らしさ”がずっと残っています」。



家族と楽しむパタゴニア

フィールドに特化したウェアだけに、街へ落とし込むにはいささかハードルが高そうにも見える。ただ、そのスポーティさや野暮ったさを馴染ませるべく、浅沼さんは普段から工夫をこらしている。



「やはり見た目の重さをどう引き算してあげるかがポイントになってきますよね。なので、普段から白アイテムを多用し、クリーンで爽やかな空気を取り入れるようにはしています。

また、トップスがヘビーな分、ボトムスや足元は軽やかさを意識しますね。そうすると、自然といい感じにギャップも生まれ面白いスタイリングになるんですよ」。

是非とも参考にしたい目からウロコのスタイリング術。最近では、古着とはまた別腹で新品を購入。その良さを再認識しているさなかである。



「サーフィンハットは3年ほど前に購入しました。ストラップが付いているので、サーフィン中にドルフィンしたときも脱げないんですよ。波待ちだと太陽の光が結構きついですから、熱中症予防の意味でももう欠かせません。

しかもこれ、ストラップが中にしまえるので、デイリーユースにも使えるんです。子供とのプールにも活躍しれくれますし、夏場はとにかくハットを常にかぶっていますね」。

そして、自分だけでなく我が子もまた、パタゴニアを絶賛愛用中である。



「ウエストポーチは子供の必需品ですね。使いやすいですし、子供の持ち物をしまっておくのには許容量的にもちょうどいい。色も鮮やかで、本人も気に入ってよく使っていますよ。キッズアイテムも豊富なんで、その辺りも助かります」。

このままいけば、おそらく我が子もファッションに目覚めパタゴニアを手に取ることになるだろう。そうやって、パタゴニアは次の世代へと受け継がれていく。

伊藤恵一=写真 菊地 亮=取材・文

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