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血液検査は「ヘモグロビンA1C」を見よ!



――確かに口が乾くぐらいじゃ、気付かないかもしれません……。


もうひとつの方法は血液検査ですが、最近の健康診断ではコスト削減で検査項目を減らす傾向があって、「血糖」だけしか調べないところも多い。だけど糖尿病で確認していただきたいのは「ヘモグロビンA1C(HbA1c)」の値です。オプションでつけられることもあるので、ぜひ加えてほしいですね。

ただし、検査結果で糖尿病の疑いが出ているのに、放っておいて重症化させる人も結構いますので、きちんとチェックしてください。

――ヘモグロビンA1Cの値はどのように見ればいいでしょうか?

下記の指標を目安にしてください。
HbA1c値が5%後半:将来糖尿病発症のリスクがある
HbA1c値が6〜6.4%:糖尿病予備軍
HbA1c値が6.5%以上:糖尿病
HbA1c値が8%以上:重度の糖尿病(コントロール目標値以上)
――予備軍のうちに、対処すれば糖尿病にならなくてすみますか?

糖尿病が治っているかどうかの判断は非常に難しいところがあります。まず、ヘモグロビンA1Cの数値自体は生活習慣を見直せばすぐに改善できます。

ただ6.5%を超えると、糖尿病と診断された段階で、インスリンを分泌する膵臓の細胞の1〜2割ほどが死んでいる可能性があります。こうなると生活習慣が悪くなれば、すぐに糖尿病になります。

6%を超えると膵臓の細胞が死に始めますので、5%の後半から気を付けた方がいいでしょう。

痩せている人ほど糖尿病が危険な理由



――生活習慣はどうしたらいいでしょう?

まずは適度な運動。よく「10分のウォーキングでもいい」と言われますが、これはおすすめしません。なぜなら同じ時間を運動に割くのであれば、筋トレの方が圧倒的に効率的だからです。

ただし、糖尿病の人は関節がボロボロになっている人も多いので、いきなり激しい運動を行うのはNG。 関節への負担が少ない方法で筋トレをしてください。

そして食事。 タンパク質を体重(kg)と同じグラム数以上は摂りましょう。体重50kgの方なら、1日に50g以上です。糖質は控えめに。糖質を食べるなら、脂質も控えめにしてください。 特に鉄分はしっかり摂ってほしいので赤身の肉などを食べるようにしましょう。

ただし、痩せているのに糖尿病の疑いがある人は要注意です。

――痩せている人でも糖尿病になるんですか?

実は痩せている人の方が厄介です。

痩せている人の中には、膵臓機能の低下によって、インスリンを十分に出せない人がいます。その場合には、少量の糖質でも血糖値が上がりやすい。

糖尿病の疑いがある場合、太っている方は糖質を減らせばいいので簡単ですが、痩せている人が糖質を制限しすぎると、ますます痩せて、筋肉や臓器がボロボロになってしまう。

糖質はある程度摂って、赤身肉など、動物性タンパク質も積極的に摂るようにしましょう。

――お酒はやっぱりダメですよね……。

いえいえ! むしろ酔っているときは血糖値が上がりにくいので、夕飯をつまみとお酒にするのはおすすめです。

糖質の入っていない焼酎やハイボール、おつまみはナッツやビーフジャーキー、燻製卵など、糖質の少ないものにすればOKです。ただし血糖値が上がらないということは、満腹感を感じにくいので、暴食のリスクもあるということを覚えておきましょう。


症状がないからといって放置すると、手遅れになってしまうこともある糖尿病。健康診断に加えて、まずは日々の食生活を見直してみよう。

林田順子=取材・文

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