「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは…… りんごに時計をはめこむという発想も驚きですが、このりんご自体がヘタや底部分の青み、皮の光沢感などとてもリアルに再現されていて、なんだか『白雪姫』の毒りんごを想起させる気味悪さがある。
この置き時計「ギラップル クロック」は、2009年に刊行されたアンダーカバーの写真集に登場するりんご型ライトを製品化した、「ギラップル ライト」の流れを汲むプロダクトです。
モダンな家具の上にぽんと置いても面白いバランスを生み出す存在感、かわいいようで少々不気味なムードもさることながら、プロダクトとして成立しているところが気に入って購入しました。
時計としてもオブジェとしても完璧で、だからといってかっこ良すぎず、子供が見ても興味を持つような絶妙な吸引力です。我が家でもついついいろんな場所に置いてみたくなり、スツールの上やピアノの上など定期的に移動させています。
文字盤のフォントはシンプルで見やすく、アラームなどの機能がなくただ時間がわかるのみ。最低限の役割だけというのも潔い。ほかにブラックやゴールドもあるのですが、僕はやはり赤いりんごが怖くて好きです。
H160mm 1万7380円/アンダーカバー 03-5778-4805
アンダーカバーの置き時計「ギラップル クロック」ベアブリックなどフィギュアを企画・販売するメディコム・トイとのコラボレーション。ライトやクロックのほか、スピーカーやキーホルダーなども展開するアイコン的プロダクト。
アンダーカバーの高橋盾さんは日本を代表するファッションデザイナーですが、実際お話しさせていただくと、プロダクトデザインにも造詣が深いことに驚きます。だからこういった唯一無二のアイテムが作れるのではないでしょうか。
このクロックは時計部分をひねってはずして電池を入れる仕様になっていて、りんごはどこにも継ぎ目がないんです。
りんごの形状をリアルに表現するために相当考えられており、真剣に気持ち悪さを追求しつつ、かっこ良すぎない絶妙なラインを突き詰めているところがかっこいい。
キティちゃんとコラボレーションしたキーホルダーも、なんだかキティちゃんの腹黒さを表現しているようで、そのカオスにアンダーカバーらしさが凝縮されているような気がします。
まじめにふざけて、まじめに作り続け、そしていつしか定番にしてしまうその姿勢を、心からリスペクトしています。
[藤井隆行 プロフィール]東京を代表するブランド「ノンネイティブ」のデザイナーで、ファッションからライフスタイルまで一貫したこだわりを持つ。「花粉に悩まされる今日この頃。今年も旗の台にある高山薬局で漢方を処方してもらっています。少々値が張りますが、かなり効きます」。
「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは…… 世の中のありとあらゆるプロダクツから、「ノンネイティブ」藤井隆行さんが独自のセンスと審美眼でモノをセレクト。デザインとは? 実用性とは? 買い物の醍醐味とは? ブランド名や巷の情報に惑わされず、本当に自分に必要なモノと出会う方法を指南。
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