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カラフルな色も切り替えのデザインもサステイナブルに直結している

 

ブランドのアイコンであるラマと、デイビスさんも愛用するロゴ入りTシャツ。いずれもオーガニックコットンとリサイクルポリエステルの混紡生地。各4400円/コトパクシ(アルコインターナショナル 06-6659-4126)


さてここ日本で“サステイナブル”というと、自然環境やエネルギー問題のイメージが先行しているように思う。しかしながら17あるSDGs(持続可能な開発目標)の最初に掲げられているのは貧困の解決である。

「私たちの目標もまったく同じ」とデイビスさんは言う。

「そもそもコトパクシは、貧困問題に持続的に取り組むためのベネフィット・コーポレーション(※1)としてスタートしました。数年前には自社の財団を設立し、年間収益の1%を寄付。財団はこの資金をさまざまな非営利団体に分配しています」。

これまで世界中でおよそ7億8500万人を支援し、今後は10億人への支援を目指しているという。コトパクシの日本総代理店を務めるアルコインターナショナルの小林晴賀さんが補足する。

自社財団が支援する非営利団体のひとつ「ファンダシオン・エスクエラ・ヌエバ」。子供たちに質の高い教育を提供している。

自社財団が支援する非営利団体のひとつ「ファンダシオン・エスクエラ・ヌエバ」。子供たちに質の高い教育を提供している。


「財団が支援する非営利団体のひとつが“ファンダシオン・エスクエラ・ヌエバ”。子供たちへの質の高い教育の提供を実践している団体です。

直近2年間ではコロンビア国内の1000以上の学校で活動しており、現地で教師を支援するためのトレーニングなども行っています」。

そのほか「ナッシング・バット・ネッツ」を通じたマラリア予防および治療への支援、新型コロナウイルス感染拡大防止のためのマスク20万枚以上の寄付、コロンビアとベネズエラの難民支援を行う「メルシー・コープス」を通じたビジネス助成や医療提供など、多彩な取り組みを続けている。

「ナッシング・バット・ネッツ」への支援を通じ、マラリアに苦しむ地域の人々に蚊帳を寄付。また6万件以上のマラリア治療にも貢献している。 

「ナッシング・バット・ネッツ」への支援を通じ、マラリアに苦しむ地域の人々に蚊帳を寄付。また6万件以上のマラリア治療にも貢献している。


またコトパクシの製品はバッグもウェアもそのカラフルな色使いと切り替えが特徴だが、実はこのデザインもサステイナブルに直結している。

2020年は製品の94%が残布、すなわち他のアウトドアブランドで余った素材やリサイクル素材によって生み出された。デイビスさんが語る。

「バッグのメインコレクション“デルディア”の製品はすべてが一点もの。どの色の素材を使うかは縫製職人の裁量に委ねられています。

もちろん残布といっても耐久性に優れた高品質なものだけをチョイス。私たちはこの素材を“(Re)Purpose(=再度目的を持たせた)素材”と呼んでいます」。

 

(Re)Purpose素材を使用した「デルディア」コレクションのバックバック。軽量かつ優れた収納力を備える人気モデルだ。H61×W30×D18cm 1万450円/コトパクシ(アルコインターナショナル 06-6659-4126)


貧困問題への取り組みとサステイナブルな製品作り。加えて注力しているのがより良いサプライチェーンの確立だ。

“より良い”とは何か。それは製品を作る人々の能力を引き出し、永続的な関係を築き、公正な労働条件を徹底することである。

「世界中のサプライチェーンで、1億3000万人以上が労働違反や人権侵害に遭っているといわれています。これは大きな人道問題のひとつです」。

デイビスさんはこの現実を受け止め、サプライヤーの監査や匿名アンケートの実施など数々の厳しい基準を設定し、企業として遵守している。そこには「労働者の福利厚生を絶対に守る」という、強い決意がみなぎっている。


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