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■所有バイクの全てが30年以上前のもの!?

納谷さんは現在、全6台のバイクを所有している。

「手元にあるスポーツスターとバジャジのほかに、先ほど話したZ2が2台。それと18歳から乗っているベスパ、20歳のときに買って実家に置いてある初期型C100のカブを今も所有しています。ただ、乗っているのはこのスポーツスターばかりですね」。

最近はハーレーのカスタム専門店「Hide Motorcycle」によく行くとか。このスポーツスターでツーリングに行くときのメンバーは全員、そのお店の方やお客さんたちだ。もちろん、まわりもカスタムされたバイクばかりだという。



「メンテナンスはすべてプロ任せで、私は洗車……いや、もっぱら“乗る専門”です(笑)」。

言われてみればこのスポーツスター、まあまあ汚れていて、全体的に使い込んだ感はある。しかし、エンジン下に付く、丸い大きなオイルフィルターはピカピカだ。

つまり、ガンガン乗ってはいて洗車もされていない。ただ、メンテナンスだけはしっかり行われている。ワークブーツで言えば、アッパーはオイル染みのシワだらけだが、ソールは新品に貼り替えたて、という感じだろうか。ようはしっかりと愛着を持って、大事にされている証である。



「6年前に2週間かけてアメリカを5000km走りました。そのときはレンタルのハーレーでね。ユタ州では雪が降る中で走って低体温症になったり大変でしたよ。

その1年後にはこのスポーツスターで1週間の北海道ツーリングへ。アメリカツーリングの翌年行ったので、あの北海道が何だか小さく感じてしまったけど、楽しかったなぁ。妻からは『新婚旅行より長いんだね』って言われちゃいましたけど(笑)。

やっぱりバイクに乗るのって、楽しいじゃないですか!」



このスポーツスターのように、「古くて遅いバイクを速くして乗るのが好き」だという納谷さん。

「ヤンチャなツーリング仲間を抜いてやろうと。まだまだ若いヤツには負けられないですからね。

とはいえ最近は乗る機会も減ってきて、車検の時期が来るたびに『ハァ、まるで自分自身の車検を取るみたいだな……』なんて思ったりしますよ」。



それってつまり、「アナタは若い頃のような気持ちで、今もバイクに乗れるんですか? 年齢を乗れない理由にしないなら、その“証”をあげましょう」って言われているみたいだってこと?

いやいや、そんな風に思わなくて大丈夫。

この速さを突き詰めたカスタムバイクを、原付免許を取得した頃と変わらない情熱で今も乗っている納谷さんに、憧れを感じる同世代はきっと多いはずだから。

山中基嘉=写真 今坂純也(DIRT SKIP)=取材・文

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