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③自動巻き機構の発明

1910年に‪スイス・ビエンヌにあるスイスクロノメーター歩度公認検定局から腕時計として世界で初めてクロノメーターの公式証明書を獲得するなど、ロレックスはオイスターケースの開発以前から精度に対する探求も続けてきた。
その努力が結実し、1931年に誕生したのが、自動巻き機構「‪パーペチュアル」である。
1931年の初代オイスター パーペチュアル。© Rolex/Jean-Daniel Meyer
手首の動きをとらえて360度回転する‪半月型のローターによりゼンマイが巻き上がる独自のシステムは、1924年にジョン・ハーウッドが考案した半回転ローターの自動巻き機構を精度の面で大きく上回った。
1931年当時の、ロレックスの自動巻き機構「パーペチュアル」。© Rolex/Jean-Daniel Meyer
さらには、手巻きが不要となることで、ねじ込み式のリュウズを緩めずに安定した精度を保つことができ、また防水・防塵においても大きな利点を生んだ。
オイスターケースとパーペチュアルの開発によって、ロレックスは精度と信頼性を高めることに成功し、自動巻き腕時計の普及に大きく貢献していくことになる。
 

④革新的なカレンダー機構を備えたオイスターウォッチ

1945年に発表された「デイトジャスト」は、オイスターケース、‪パーペチュアルローター、さらには革新的なカレンダー機構を兼ね備えた次世代を担うオイスターウォッチの完成形を示した。
特徴的な‪フルーテッドベゼルとジュビリーブレスレットが採用された初代デイトジャスト。© Rolex/Jean-Daniel Meyer
デイトジャストが登場する以前、腕時計の分野でカレンダー機構が存在しなかったわけでない。それどころか、「永久カレンダー」を搭載した記念碑的な傑作がすでに登場していた。
アブラアン-ルイ・ブレゲが1795年に考案した永久カレンダーは、1461日(4年)をサイクルとする機械を搭載することで、28日、29日(閏年)、30日などの月により異なる日数を忠実に再現するメリットを持つ一方、緻密な設計も相まって調整はそれなりに手間がかかる。
それに対してデイトジャストに搭載されたカレンダー機構は、午前0時になると日付の表示が切り替わる新たな機能と、リュウズのみで簡単に調整できる優れた操作性に特徴があった。
ここからもわかるように、ロレックスの革新性とは、腕時計に必要とされる実用性をシンプルに追い求めたことにある。
 
その後もロレックスは時代を先読みしながら独自路線を歩んでいき、1950年代に入ると、今なお時計市場を席巻し続けるプロフェッショナルウォッチの主要モデルを続々と世に送り出す。
そのお話は、また次回。
 
戸叶庸之=文


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