3人目・中田慎介さんの場合
「ビルケンファンにとって“オール黒”は待望でした」
現在のビームスの仕掛け人とも言える中田さんもまた、重度のビルケンラバーである。
「ビームスはビルケンシュトックを約30年展開しています。僕の社歴よりも歴史があり、先輩スタッフが履いているのを良く見ていたので、“ビームスの足元=ビルケン”というくらい、個人的には思い入れの強いブランドです」。
普段からチューリッヒとアリゾナを巧みに履き分ける中田さんだが、着用時のマイルールがあるという。
「ロングパンツには、チューリッヒ。パンツの裾とひと続きになるような太めのストラップや、わずかに覗くつま先のバランスは黄金比だと思っています。ショーツの際は断然アリゾナで、くるぶし丈のソックスを履いてもこなれ感が出ます」。
よってこの日も、チューリッヒはフルレングスのパンツでコーディネイト。
アメリカ軍のBDUジャケットをサンプリングしたシャツのリネンの優しい風合いがビルケンとよく似合う。
「チューリッヒは、ビームスが長年提案してきた“日本人誰もをスタイリッシュに変身させてくれるビルケン”というイメージですね。一方、僕の出身がビームス プラスということもあり、一番オーソドックスなのはアリゾナ。初めて購入したビルケンシュトックもアリゾナでした」。
ということで、別注アリゾナも。
「結局、王道が正義」と語る中田さん。アリゾナには、同じくショーツ界の王道として君臨するパタゴニアのバギーズ・ショーツが相性抜群なのだとか。そこにシャツをプラスして大人の品をプラスするのが中田流だ。
これまで数々のビルケンを愛用していた中田さんでさえ、オールブラックは「待ってました」と思わず声が出たそうで、その細かな仕様も現代のムードとマッチしていると考える。
「
履けば履くほど雰囲気が出るのが、ビルケンのいいところでした。でも、一方で汗染み問題など、大人にとっては避けたい課題もあったのは事実です。オールブラックだとシャープさや高級感が一層増すので、履き古さずとも格好良く、染みも気にせず履きまくれる。手前味噌ですが、最高です(笑)」。
オールブラックのビルケンシュトックは懐が深い!
三者三様の履きこなし、いかがだっただろうか。オールブラックとなった別注ビルケンには、どんなコーディネイトにでもマッチしてしまう懐の深さを見て取れた。
履きこなしやすさ抜群のオールブラックモデル。買い逃して後悔することは、目に見えている。
[問い合わせ]ビームス 原宿
03-3470-3947佐藤 裕=写真 市川明治=取材・文