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時器放談、言いたい放題で総まとめ

広田 それにしても、やっぱり楽しいですよね、こういう時計は。最近はぶっ飛んだデザインの時計を作るところが本当に少なくなりました。
まるでUFOなランバンの時計。
安藤 現代だとグッチくらいしか頭に思い浮かばないけど、70年代はいろいろありましたよねー。ほかにもピエール・バルマンとか。このランバンのもすごくイカしてます。ムーブメントはフランスのLIP社が製造した電磁テンプ式を載せていて、まさにほとばしる近未来感!
広田 バングルになってるんだー。これもするんですか?
安藤 もちろん。電磁テンプ式だから時間はよく狂うけど、まぁアクセサリーみたいなもんですから。
広田 いつくらいからかなぁ、こういう時計が絶滅したのは。
安藤さんのインスタグラムにも登場したポール・スミスの時計。
安藤 実際にはつい最近まであったと思います。少なくとも10年くらい前までは。ジャン=ポール・ゴルチェなんか、とんでもないのを作ってましたよ。あとは何と言ってもポール・スミスですかね。ポールさんは自身が腕時計をコレクションしていたこともあって、当初は変なのをたくさん作ってました。ピエール・カルダンの影響を明らかに受けてるなってのもあったし。
広田 でも最近はポール・スミスもいかにも「時計らしい時計」を出してますよね。
安藤 機械式をやり始めたくらいからですかね、マジメ路線に移ったのは。僕的にはクオーツでいいからもっと「ポール・スミスらしい時計」を作ってもらいたいんですけど。
広田 最近はコネクティッドウォッチ系を出しているブランドもあるけど、同じプラットフォームを複数のブランドが使うケースもありますよね。
安藤 そう。あれも楽しくないなぁ。以前の回で広田さんがおっしゃってましたが、非時計専業ブランドの時計の良さって、その時計のためだけにパーツから作るところにあるわけじゃないですか。それを自ら否定しちゃダメだと思うんです。自分たちの世界観を表現するのに最大限の努力を払うってのがいいんだから。
広田 ですです。
まさに言いたい放題で、夜は更けていく。
安藤 非専業ブランドは、今や時計専業と競り合えるところまでの技術力を持っている。実際、バーゼル・ワールドなんかに行っても、時計好きがシャネルやブルガリの時計を普通にしてますよね?
広田 そうですね。そのあたりの時計はすでに「鉄板ちゃん」って感じですね。
安藤 それはとっても凄いことだと思うんです。だけど、ラグジュアリー系のブランドにはそれ以外にももっと楽しい提案をしてほしい。
広田 ひと通り能力を得たブランドが、今後遊ぶ方向に振ってくるのかもしれないな、という気がしてますけどね。
安藤 そうあってくれたら嬉しいな。非専業にしか作れない時計作りってのは絶対にあるはず。そういうのがなくなっちゃうと、時計業界全体の厚みみたいなものがなくなってしまう気がします。というわけで、最後が愚痴っぽくなりましたが、この対談もこれでおしまい。長らくのご清聴ありがとうございました。また、いつかお会いしましょう。
 
関 竜太=写真 いなもあきこ=文


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