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中から出てきたのは、タイメックスの代表作「キャンパー」をベースにした見たことのない1本。ブラックフェイスにオリーブグリーンのインデックス、ベルトはベンタイル生地で作られている。しかもベトナム戦争時には米軍官給品だった「キャンパー」の12時位置に、なんと英国空軍の象徴「ブロードアロー」を刻印してしまっているのだ。

「英米共軍(笑)。こういうことができるのはファッションの楽しいところ。ちなみにベンタイルも英国軍が大戦で使った素材で、時計のベルトでコレが使われたことって意外とないみたいなんだ。作ってみたらスゴくいい感じ。経年変化で味も出てくるし、長く使う時計には最適だと思うよ」。
「そういえば今日履いているスニーカーもベンタイルだ!」と言って、コラボウォッチを合わせるナイジェルさん。それをスタッフに「撮って撮って」と指示。
1968年にデビューして、ファッションデザイナーとして50年間活躍してきたナイジェルさんの知識と自由な発想が生んだミリタリーウォッチ。そのデザインの着想源には、ある俳優がいたという。
「ショーン・フリンというアメリカ・カリフォルニアの俳優で、ベトナム戦争に出兵してカメラマンに転身した人なんだ。彼は1970年に28歳で行方不明になってしまうんだけど、きっとその手にはタイメックスが巻かれていた。そして、彼のフォトジャーナリストとしての活躍を知る限り、彼は戦争には絶対に賛成はしていなかった。そういうことに想いを馳せていくといろんなアイデアが湧いてきて、こういうプロダクトに落ち着いたんだ」
そのオマージュを込めて、収納するコットンキャンバス製の袋にはショーン・フリンの顔をプリント。モデル名は「ナム・ウォッチ」と付けられた。確かにコイツは、これまでにない逸品である。
「基本的に時計は毎日着けるもの。傷が付いたらとか、スタイリングによって使えないとか、時間があっているかとか、気にかけることがあるほどにストレスになる。その点、ミリタリーウォッチは優秀だ。頑丈だし、着け心地もいいし、シンプルなデザインで汎用性もある。もちろん機能も素晴らしい。そこに心を満たす喜びまであったら無敵だと思わないか?」
史上初の英米同盟デザインで、使い込むほどに味わいが出るミリタリーウォッチ。これはまさに無敵なのかもしれない。
「ナムウォッチ」SSケース、クオーツ。2万3000円[レザーベルト付属、キャンバスケース付き]/ナイジェル・ケーボン × タイメックス(アウターリミッツ 03-5413-6957)


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