「できません」「知りません」「わかりません」を連発されると…
チームが一丸となって共通な目標に向かって仕事をする――こんな当たり前のことがうまくいかずに、やきもきさせられるのが“マネジメント”。チームというのをバラしてみれば一人一人の人間になるわけで、自発的に行動するタイプ・当事者意識高いタイプから、指示待ちタイプ・責任を負いたくないタイプまで、いろんな部下を束ねていく必要があります。
「そんな部下でもイケてる上司でいられますか?」を最初から読むそんな中でマネージャーがまず退治すべきは、「チームの士気を下げてしまう部下」ではないでしょうか。どんな目標も達成するための課題や困難があり、それを乗り越えるからこそ価値が生まれるわけですが、課題や困難にばかり注目して「できません」「知りません」「わかりません」と否定語を連発するタイプの人が、組織には必ず一定数存在するのです。
否定的なタイプがチームの中で発言力を持ってしまうと、びっくりするくらい簡単にチームの士気は下がっていきます。チーム内に「やってもどうせ無駄」「上から言われたから仕方ない」といったムードが漂ってしまえば、元に戻すのは大変です。
そもそも、なぜ否定的な発言をする人が一定数存在するのでしょうか。それには2つの背景があると考えられます。
1.危機回避(リスクマネジメント)に長けていると思っている
2.仕事量のコントロールを何より重要視している
実は否定的な発言をしている部下は、チームのために“よかれと思って”いる場合が多い。つまり否定的な発言の裏にはある意味冷静な視点が隠されており、予測不能なことに対してどのように対処していくのか、それによって自分たちの業務負荷はどのように変化するのか、を上司である私たちに突き付けている、とも言えます。
さて、あなたならこんな部下、どのように対処しますか?
否定的な部下を敵にまわすくらいなら、味方にしてしまえ。
最も危険な対処法は、彼らを「やる気のない部下」として扱ってしまうこと。具体的には「できないと言う前に、やってみようとは考えないのか」「そんな否定的なことばかり言うのなら、この仕事から外れてもらう」などと指示をしてしまうことです。チームのために、ひいては上司であるあなたのために発言したと思っている部下が、その発言をマイナスにしか受け止めなかった上司の指示に従うでしょうか? 従わない程度ならまだ軽い方で、抵抗勢力としてあなたに真っ向から対立することも考えられます。
私ならばこう考えます。
「部下を敵にまわすくらいなら、味方になってもらった方がよっぽどまし」
では、味方にするにはどう接するのがよいのか。
まずは彼らの否定的発言の根拠を明らかにします。「どうしてそう思うの?」「具体的な数字で表すことは可能?」「もし失敗したときの損失額はどうなる?」といった問いかけで、感情論にならないように論点を引き出していきます。そのときに部下が、ある程度事実に基づいた答えを返してくれたなら、その部下に次のキラーワードを告げます。
「私にはない視点だから、ぜひ“参謀”として私を支えてほしい」
そして、何か気が付いたことがあれば、チームに言うより前に自分の耳に入れてほしい、とお願いします。これであなたは部下にとって「自分の発言を価値あるものとして受け止めてくれ、かつ耳の痛い話も聞いてくれる上司」になることができ、かつその部下の否定的発言を自分のコントロール下に置くことができるのです。
ちなみに部下の否定的発言に根拠がなく、単なる感情的なものだった場合は、その部下のガス抜きに付き合ってあげてください。それだけでも「いい上司だな」と思ってもらえるので。
次回はレベル3「仕事が終わってないのに帰る部下」です。
取材・文/藤井大輔(『R25』元編集長)
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